写真家・川内倫子が「子どもという自然」を写した特別な3年間 (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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写真家・川内倫子が「子どもという自然」を写した特別な3年間

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撮影:川内倫子

撮影:川内倫子

 写真家の川内倫子さんが写真集『as it is』(torch press)を出版した(※最終頁参照)。川内さんに聞いた。

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「今回はお声がけあったことが大きかったですね。自発的に一冊にまとめたいという気持ちよりも、依頼があったことで成立できたというか」

 写真集をつくったきっかけを川内さんに聞くと、こんな言葉が返ってきた。

 声をかけたのは共同出版を行った「Chose Commune」というフランスの出版社。ウェブマガジン「Fasu」連載の川内さんのフォトエッセーを見て、「『これでまとめるのはどうだろう』と、言ってくださって」。

「2カ月前の写真を見返すとあの頃のあの子はもういない」

 失礼ながら、私はこのエッセーを知らなかった。インタビューから戻ると、すぐパソコンに「Fasu」と打ち込み、検索してみた。すると、「あたらしい時代に生きる家族のためのライフスタイルメディア」とあった。

 2016年9月に始まり、現在も進行中の子育てフォトエッセー「そんなふう」を一気に読んだ。妊娠から出産準備。娘の誕生。どこにも出かけない特別な夏。生え始めた歯。突然の発熱。しゃべり始めた言葉らしきもの……。

 出産から待ったなしの怒涛のような出来事。それを「心して楽しんだつもりだったのだが、やはりあっという間だったのだ。そう思って2カ月前の写真を見返すとあの頃のあの子はもういない」と、ちょっと切ない胸の内を川内さんはつづっている。

 子どもがいる生活が始まると、自分が子どもだったときに家族に見守られていたこと、自分にも守る人ができたことを実感した。父や母、祖父や祖母の記憶。忙しく仕事に打ち込む川内さんをいつも気づかってくれた義父の死。

 はたまた川内さんは、出産と前後して自然豊かな千葉県・房総半島に家を建てた。日当たりのよいテラスからは間近に小川を見下ろせ、その向こうには木々が生い茂るすてきな場所だ。川のせせらぎに浸した小さな足が写った写真を見ると、浅い川底の砂の感触が伝わってくるようだ。

 3年ほどの間にさまざまな出来事があった。それを娘の成長を軸に書き、写真を掲載してきた。このフォトエッセーをまとめれば十分に写真集が出来上がると出版社は判断して声をかけたのだろう。


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