個人的にはEOS Kiss Mのような一眼レフ風のデザインよりも、本機のようなフラットタイプにミラーレス機の趣味カメラとしての本質があると考えている。EVF(電子ビューファインダー)は内蔵していないが、着脱式のEVF-DC2(税別実売1万7685円)が使えるので、ファミリーユースから本格的な趣味までにも使えるフレキシビリティーなカメラだ。ファインダー装着時は、それをのぞきながらでも親指でAF測距点を変更できるタッチ&ドラッグも可能だ。

 搭載センサーはAPS-Cサイズ、約3250万画素のCMOS。画像処理エンジンはDIGIC 8で、常用でISO100~2万5600の感度など、EOS 90Dと同じである。

 ただ、コマ速は異なる。本機ではAFの固定・追従ともに最高約14コマ/秒を実現している。しかも連写中にブラックアウトすることなく被写体を捕捉できる。シャッターの最高速はメカで4000分の1秒、電子では1万6000分の1秒になる。電子シャッターなら、AF追従で約30コマ/秒の連写も可能だ。

■有効約3250万画素!高速連写で動体撮影も可

EOS Rのカメラボディーはコンパクトといえど、35ミリ判フルサイズであり超のつく高画質を狙ったカメラで、レンズも大きい。交換レンズを含めたコンパクトさはEOS Mにはかなわない。長焦点域をカバーする標準ズームレンズもスナップで使いやすい●EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM・52ミリ時・AE(絞りf9・250分の1秒・-0.3補正)・ISO400・AWB・RAW
EOS Rのカメラボディーはコンパクトといえど、35ミリ判フルサイズであり超のつく高画質を狙ったカメラで、レンズも大きい。交換レンズを含めたコンパクトさはEOS Mにはかなわない。長焦点域をカバーする標準ズームレンズもスナップで使いやすい●EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM・52ミリ時・AE(絞りf9・250分の1秒・-0.3補正)・ISO400・AWB・RAW

 シャッターを切る0.5秒前から記録を開始して、鳥や昆虫の飛翔など、予測しづらい動体の撮影で大きな効果を発揮するRAWバーストモードもある。

 背面にあるAF/MFの切り替えスイッチは新しく搭載されたもの。中央にボタンがあり、親指AFにも対応する。さらにサブ電子ダイヤルも設けられているため、旧来のEOS使いにも戸惑いがないように考えられている。動体の捕捉能力など、EOS 90Dに負けまいとする仕様だが旧来の一眼レフEOSユーザーが同じようなスペックのカメラを前にしたとき、一眼レフかミラーレスかのどちらを選ぶかは興味深い。ただしEOSの3マウントの互換や将来発展性を考えると、EOS Mシリーズは孤高な立ち位置にみえる。

写真・解説=赤城耕一

※『アサヒカメラ』2019年10月号より抜粋