参加者は年々増加。学生だけでなく、友人知人や卒業生など、関東一円からネパール人をはじめさまざまな人が集まるイベントへと成長しつつある。いまでは地元の商工会議所から「ぜひ毎年、開催してほしい」と公園を貸してくれるようになったそうだ。集客が増えれば周辺の飲食店も賑わう。人の流れが活発になる。若い外国人が地域に活力を与えると目論んだのだ。

 そんなダサインは今年から、性格を変えた。

「きっとスンダルさんなら、なにか新しいことはじめてくれると思ったんだ」

 とタマンさんが言う通り、生徒会長はダサインを単にネパールのお祭りというだけでなく、国際交流フェスへと進化させた 。千葉モードビジネス専門学校には、ベトナムやモンゴル、スリランカ、中国やバングラデシュなどからの留学生もいる。彼らも巻き込んで、日本人もどんどん呼び込み、いろいろな文化を持つ人々が交わる場にする。そのために台風被害もあったが準備を重ねてきた。

ネパールから持ってきたというサリーに着飾ってダサインに参加
ネパールから持ってきたというサリーに着飾ってダサインに参加

 さまざまな国からやってきた留学生が、日本語で意見を交わし、どんなイベントがいいのか話し合う。ときにけんかをすることだってあるが、それも日本語で言い合う。多国籍な学生をスンダルさんはまとめあげ、台風も乗り越えて、この日を迎えた。

 会場にはベトナム語も響き、ウズベキスタンや中国などの文化を紹介したパネルも並び、アジア各国の料理のブースも出た。アジアの屋台街のような雑多さと、賑わいだ。

「学校の仲間が、ひとつの家族のようになれば」

 とスンダルさんは言う。すでに卒業を控え、日本企業の内定ももらっている。誰もが知る飲食大手だ。しばらく日本で働き、経験を積んだら、帰国して起業したいと話す。

 タマンさんも日本での就職を希望している。

「日本での暮らしはたいへんですが、がんばればがんばっただけチャンスがもらえる国です。いまは学校とアルバイトとできついけど、乗り越えた先は明るいと思います」

 ウパチャヤさんも、

「1回やってだめなら2回、3回ぶつかればいい。努力すればなんでもできる!」

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そんなことを日本語で話す彼ら…