※写真はイメージです
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 近年、警察官採用の対策に力を入れる大学が増えている。大学評価誌「大学ランキング」(朝日新聞出版刊)では、毎年、警察官採用者の出身大学をランキング形式で紹介している。2017年の警察官採用者の最新データをもとに、上位校の顔ぶれや取り組みについて、教育ジャーナリストの小林哲夫氏が解説する。

【表】警察官採用者数&採用率ランキングはこちら

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 警察官採用者数の大学ランキングが初めてメディアに掲載されたのは2005~2006年のこと。「大学ランキング 2008 」では、2006年の採用者数を掲載したが、このときの1位が日本大だった。10年以上経ったいまなお、日本大のトップは揺るがない。上位校には国士舘大、東海大、帝京大、近畿大が並んでおり、この顔ぶれも大きくは変わっていない。

 警察官採用率(ある年のその大学の全就職者数のうち、警察官採用者が占める割合)でみると、日本文化大の42.41%が断トツだ。同校出身者の採用率はここ数年40%を超えている。就職者総数が毎年200人足らずの小規模大学という特性を生かし、警察官志望者への支援は手厚い。

 警察官採用者81人の内訳は次のとおり(カッコ内は女子)。

 警視庁45(4)、神奈川県警19(2)、埼玉県警6、福島県警2(1)、栃木県警2、静岡県警2、茨城県警1、千葉県警1、 長野県警1、京都府警1、長崎県警1。

 日本文化大は警察官採用者が多い大学としてさまざまなメディアに取り上げられた。大学が自ら宣伝に使っていることもあり、大学関係者のあいだでは「日本文化大=警察官」が周知されつつある。

 しかし、大学は警察官採用に向けて特別な授業を行っているわけではない。警察官、消防官コースといったものはあるが、これらは多くの大学でも設置されている。

 日本文化大が警察官に強いのには、別の理由がある。

 警察官に採用されるには、言うまでもなく公務員試験の合格が条件だ。試験科目には数学があり、これはとくに私立大文系に通う大学生にとってハードルが高い。そこで、日本文化大の学生は、試験対策として数学を重点的に学んでいるのだ。同大の吉田勝信特任教授が話す。

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警察官とソフトボールをする大学も登場