――SDGsについてはどうお考えですか。

 教育者としてグローバルな理解を深めるのに、非常に役に立つ考え方です。グリーンスクールでは数学や化学、音楽、美術など普通の学校と同じ教科も勉強しますが、必ず自然や環境問題に関連させています。子どもたちはここで「サステナビリティについて学ぶ」のではなく、「サステナビリティのため」に試行錯誤しながら、あらゆる教科を包括して学ぶべきなのです。この地球以外に地球はないのですから、諦めるわけにはいきません。もう秒読みが始まっています。今すぐ行動を起こして、取り組み続けるだけです。

――この記事の読者、特に大人に向けてメッセージはありますか。

 環境もテクノロジーもとても速く変化しているのに、産業革命以降、教育はあまり変わっていません。皆さんが通った学校は、親や祖父母が通った学校とほぼ同じです。早急に教育モデルを変えなければ、未来の世代に必要な問題解決力と創造性のある人材を育てられません。

 私も親として、子どもにはよい価値観を持ち社会に役立つ人になってほしい。それは、よい成績を取って有名な大学に行くことよりも、幸せで価値のあることだと思います。

グリーンスクール卒業生・環境活動家 露木しいなさん
「やりたいことは大人になるまで待たなくていい」

露木しいなさん。「誰もが地球環境を考えるのが理想」と語り、知識を伝えるだけでなく行動に移せるきっかけ作りも大切にしている(写真/まっさん)
露木しいなさん。「誰もが地球環境を考えるのが理想」と語り、知識を伝えるだけでなく行動に移せるきっかけ作りも大切にしている(写真/まっさん)

 露木しいなさんは2001年生まれ。高校3年間をグリーンスクールバリで過ごした。在学中の2018年にCOP24(気候変動枠組条約締約国会議) in Polandに、2019年にはCOP25 in Spainに参加、COP24ではスウェーデンの同年代の環境活動家グレタ・トゥンベリさんとも会った。高校卒業後は慶應義塾大学環境情報学部に入学。現在は休学し、中学生・高校生に気候変動についての正しい情報や知識を伝えるため、環境活動家として全国各地で講演活動をしている。コスメブランド「SHIINA organic」もプロデュースしている。

――グリーンスクールへの留学のきっかけはどんなことでしたか?

 幼い頃から自然の中で遊ぶことが大好きで、遠足で箱根八里を歩いたり、キャンプで火おこしをしたりするような幼稚園に通っていました。中学卒業後は英語を学びたかったので留学先を探していましたが、母は英語を学ぶだけの留学には大反対。たまたまインターネットで見つけたグリーンスクールに、家族で体験キャンプに参加して魅了されたのがきっかけです。

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情報と知識が不足している