原田氏はこう語る。

「猿之助さんの両親は睡眠薬などで意識を失ったあとに何らかの理由で亡くなったというほうが可能性があるのではないか、というのが私の見解です」。

原田氏が医師としてこうした見解を示すことには、大きな理由がある。事件の報道により、向精神薬について誤った認識が広がることを危惧しているからだ。

「事件を受けて、向精神薬を服用している患者さんから『大量に飲むと死んでしまうのか』という不安の声を多くいただいていますが、そんなことはありません。もし希死念慮がある患者さんが『この薬を飲むと死ねる』などという誤解が広がってしまえば、それは問題だと考えています」

 両親はどうやって死に至ったのか。謎は深まるばかりだが、猿之助さんの口から真相が語られることが待たれる。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

※厚生労働省は悩みを抱えている人に対して、主に以下の相談窓口などの利用を呼びかけています。

▼こころを落ち着けるためのWebページ

・こころのオンライン避難所

 https://jscp.or.jp/lp/selfcare/

▼電話やSNS による相談窓口の情報

・#いのちSOS(電話相談)

https://www.lifelink.or.jp/inochisos/

・チャイルドライン(電話相談)

https://childline.or.jp/index.html

・生きづらびっと(SNS 相談)

https://yorisoi-chat.jp/

・あなたのいばしょ(SNS 相談)

https://talkme.jp/

・こころのほっとチャット(SNS 相談)

https://www.npo-tms.or.jp/service/sns.html

・10 代20 代女性のLINE 相談(SNS 相談)

https://page.line.me/ahl0608p?openQrModal=true

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら