※写真はイメージです (c)アフロ
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 ビーフとオニオン風味の濃厚なパウダーがクセになる、カルビーの「ポテトチップス コンソメパンチ」。1978年の発売から瞬く間にヒット商品となり、発売から約45年経った今も、カルビーの主力商品として揺るがぬ地位を築いている。

 コンソメ味は日本における定番フレーバーの一つだが、海外に目を向けると、コンソメ味のポテトチップスはあまり馴染みがない。なぜ、日本独自のフレーバーとして浸透したのか。朝日新書『ポテトチップスと日本人 ――人生に寄り添う国民食の誕生』(稲田豊史 著)から一部を抜粋・編集して紹介する。

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「カルビーポテトチップス コンソメパンチ」は、同社としては「うすしお味」「のりしお」に次ぐ3番めのフレーバーとして1978年に発売された。コンソメとは牛肉や鶏肉や魚などから取った出汁(ブイヨン)に野菜を加えて煮立てた、フランス料理に由来する琥珀色のスープのこと。実際、袋裏面の原材料表記には、チキンコンソメパウダーやビーフコンソメパウダー(肉)、オニオンエキスパウダーやトマトパウダー(野菜)の文字がある。

 なお、「コンソメパンチ」の「パンチ」とは当時の流行語「パンチがきいている(元気がいい、勢いがある)」が由来。同時期に勢いのあった若者向けのグラビア週刊誌「平凡パンチ」(1964年創刊、1988年休刊)もネーミングイメージにあったようだ。

 コンソメ味のスナック菓子としては、明治製菓(現・明治)が1970年1月に発売したトウモロコシ原料の「ピックアップ」(当初は「コンソメの味」と「かるいしお味」の2種)が先行しているが、当時のポテトチップス市場について湖池屋の現会長・小池孝は、「塩はカルビー、のり塩は湖池屋という構図であり、湖池屋はほかにバーベキュー、カレー、ガーリックといった味も出していたが、市場全体として味のバリエーションはそれほど多くない時期だった」と振り返る。

 そこに「コンソメパンチ」が登場し、またたく間に人気商品となった。

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「第二の成長ロケットに火がついた」