巨人・原辰徳監督
巨人・原辰徳監督

 巨人が苦しんでいる。開幕から15試合を消化して5勝10敗の借金5でセ・リーグ最下位。まだまだシーズンは始まったばかりだが、早くも2年連続のBクラス、そして球団初の暗黒期に突入したのではないかという声も聞こえてくる。

【写真】「やっぱり“侍ジャパン”に選んでほしかった投手」がこちら

 ただここまでの成績を見てみると、決して悪い要素ばかりではない。チーム本塁打13本はセ・リーグトップの数字であり、1試合当たりの平均得点もDeNA、広島に次ぐ3位となっている。またチーム防御率はセ・リーグ最下位ではあるものの、3.28と際立って悪い数字というわけではない。特に救援防御率は昨年の3.80から2.81へと大幅に改善している。勝ちパターンに持ち込む試合が少なく、抑えの大勢がわずか3試合しか登板していないことを考えると、これは大きなプラス要因と言えるだろう。

 ただそれでも巨人に暗黒時代到来の雰囲気を感じるのはなぜなのだろうか。大きな理由の一つが主力選手の低迷だろう。投手では長年エースとしてチームを牽引してきた菅野智之が絶対的な存在ではなくなっており、今年も開幕直前に右肘を痛めて二軍での調整が続いている。また中継ぎの柱として活躍していた中川皓太も故障で現在は育成契約となっており、実戦復帰からは遠ざかっている。

 昨年は8人もの投手がプロ初勝利をマークして若手の底上げは進んではいるものの、現在の先発ローテーションを見てみるとグリフィン、ビーディ、メンデスと新外国人投手が3人も名を連ねており、戸郷翔征に次ぐ先発の柱は確立できていないのが現状だ。救援防御率が改善したことは前述した通りだが、逆に先発投手陣の防御率は昨年と変わっておらず、しかも選手の顔ぶれが期待の若手ではなく外国人選手という状況であれば、将来が不安になるのも不思議はないだろう。

 そしてさらに不安なのが野手陣だ。坂本勇人丸佳浩の2人がここまで揃って打率1割台と低迷。シーズン序盤ということを考えればまだまだここから巻き返す可能性もありそうだが、凡打の内容を見てもかつてのような活躍を期待するのは酷なように見える。中田翔の復活や現役ドラフトで加入したオコエ瑠偉の好調など明るい材料もあるが、今シーズンに入ってから台頭の兆しが見える若手というと3年目の中山礼都とルーキーの門脇誠の2人しか見当たらない状況なのだ。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
若手で期待できる選手は多い?