原辰徳が復帰した2019年以降の4年間を振り返ってみても、初めて規定打席到達をクリアした日本人選手は吉川尚輝(2020年)、松原聖弥(2021年)との2人しかおらず、彼らも低迷が続いている。主力が成績を落としてもそれに代わる選手が出てくることもなく、チームの成績も低迷しているとなれば、ファンとしては暗い気持ちになるのも当然だろう。同じ最下位に沈んでいても、清宮幸太郎、野村佑希、万波中正という将来有望なスラッガーが成長を見せている日本ハムの方が巨人と比べても未来が明るく感じている人も多いはずだ。

 そうなると今後のシーズンでの注目ポイントはやはりどこで主力選手を切り替えるかということになるだろう。投手では山崎伊織、堀岡隼人、石田隼都、さらに育成1位ルーキーの松井颯などが二軍で結果を残し始めている。先日一軍デビューを果たした田中千晴に続いて彼らを抜擢することで、昨年からの流れを継続したいところだ。また野手では秋広優人、菊田拡和の2人がここまで見事な成績を残しており、ドラフト2位ルーキーの萩尾匡也も打率.280、チームトップの12打点と存在感を示している。同じ負けるにしても、力の落ちているベテランを並べるよりも、彼らを起用した方がチームの将来に与えるプラスは大きいだろう。

 原監督の第二次政権時代には坂本を筆頭に野手では亀井善行、松本哲也、長野久義、投手では内海哲也、西村健太朗、山口鉄也などを引き上げて主力としているが、前述したように第三次政権ではそういった動きがまだまだ鈍いように感じられる。このスタートダッシュの失敗をきっかけに大きな方針転換を図ることができるのか。原監督の決断が迫られるシーズンとなりそうだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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