中日・小笠原慎之介
中日・小笠原慎之介

 7戦全勝という形でワールド・ベースボール・クラシック(WBC)制覇を果たした侍ジャパン。史上最強という前評判通りの戦いぶりだったが、そんな中であることが密かに話題となっている。そんなチームに強化試合で唯一黒星をつけたのが昨年セ・リーグで最下位となった中日だったのだ。ちなみにこの試合は大谷翔平(エンゼルス)などメジャー組は出場しておらず、いくら力のあるチームでも歯車がかみ合わない試合はあるため、この1試合だけで中日が強いと判断するのはもちろん早計だが、期待を持たせる材料であることは間違いないだろう。

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 また中日にとって喜ばしいデータも存在している。今年は兎年となるが、過去の兎年のシーズンを振り返ってみると2位、2位、2位、2位、優勝、優勝と全て2位以上の成績を収めているのだ。この2つの要因が影響しているかは定かではないが、中日をダークホースに挙げている評論家も少なくない。

 では果たして今シーズンの中日に浮上の可能性はどの程度あるのだろうか。まず最大のプラス要因と言えるのが強力な投手陣である。昨年もチーム防御率は3.28でリーグ2位の数字をマークしている。特に大きいのが小笠原慎之介高橋宏斗の成長だ。小笠原はプロ7年目の昨年、開幕直後に新型コロナウイルスに感染して離脱しながらも、10勝8敗、防御率2.76というキャリアハイの成績をマーク。侍ジャパンの強化試合でも先発して5回を被安打3、1失点と見事な投球を見せている。現在の調子を維持できれば、2年連続の二桁勝利の可能性は高いだろう。

 一方の高橋はチームで唯一侍ジャパンに選出され、決勝戦にも登板するなど大きな経験を積んだ。昨年は6勝7敗と負け越しているものの、防御率は2.47と見事な数字を残しており、味方の援護があれば二桁勝利に届いていた可能性は高い。ボール自体の力は現在のセ・リーグでも1、2を争う存在と言え、こちらも大きな飛躍が期待できる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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