• ――とはいえ、若い世代で「合コン」は死語になり、マッチングアプリ全盛の時代だ。それがかつての「お見合い」や「職場結婚」の役割を果たすのではないだろうか。

宮崎 コロナの影響で、若者は合コンをしなくなったと聞きますが、今はマッチングアプリでしょうか。

荒川 実はマッチングアプリは、恋愛強者の人がマッチングしやすいという偏りの問題があります。街のナンパのデジタル版でしかない。ルックスが良かったり、ステータスが高かったりする人しかモテないですよ。ここでも恋愛強者3割の法則が当てはまります。

宮崎 恋愛弱者は利用料を払って、恋愛強者を支えているようなかたちになっているんですね。

 一方で、恋愛強者と思われる女性が、結婚しない、というのもよく目にするように思います。

 女性が社会進出していくことで、稼げるようになる。そうすると、女性は自分よりも稼げる人、頼れる人をパートナーとして選ぼうとしてしまうところがあるように思います。でも、本来であれば、男性でも家に入っていいんだよ、専業主夫でもいいんだよ、という夫婦のかたちもいいと思うんですよ。だけど、実際はまれで、大半の人は割り切れていないのではないでしょうか。

荒川 そうですね。女性が男性を選ぶ条件として、「年収500万円くらいの普通の男性でいい」という言葉が炎上したことがありましたが、いまやそれは普通ではありません。20代後半の未婚男性の半分が年収300万円未満です。30代前半でも4割強は年収300万円未満です。

宮崎 それでは「出会い」ませんよね。職業は度外視でマッチングできないものなんですかね。

荒川 今のマッチングアプリでは最初に年収を確認されますからね。

宮崎 廃止にしましょう。年収と顔は登録しないようにしよう。

荒川 同類縁というのがあって、結局、同じような学歴、同じような年収の人たちがマッチングしている現状があります。つまり、マッチングアプリだけでは、この状況を打開するものにはならないということです。

 なお、恋愛強者の女性は、恋愛弱者だけど経済強者の男性と結婚しているケースが多いです。

宮崎 先見の明が必要とされますね。

荒川 結婚に対して女性の方が現実的なのだと思います。

(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

後編:コロナ禍の政策は「恋愛ロックダウン」で若者が一番割を食った 独身研究家荒川氏×元衆院議員宮崎氏】に続く

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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