写真はイメージです(Getty Images)
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 春は、送別やお祝いの季節。お祝いや送別の品を誰かに贈るときのことはわかっていても、自分がいただいたときのお礼の作法には自信がない、という読者も多いのではないか。時代とともに、お礼の意味合いも変化している。お礼(お返し)が不要な場合もあるので、『【増補改訂版】きちんと知っておきたい 大人の冠婚葬祭マナー新事典』でおさらいしておきたい。

【一覧】知っておきたい!お礼返しの金額の目安と品物

 お見舞いやお祝いをいただいた場合、本来はお返しをするのがマナー。古くは「祝儀は倍返し、不祝儀は半返し」といわれてきたが、近年では祝儀も不祝儀も、3分の1から半分程度をお返しするのが一般的になっている。

 ただし、日頃のお礼であるお中元・お歳暮・お年賀は、お返し不要。目上の人からいただいた餞別や、勤務先からの祝儀・不祝儀、入学や就職祝いに対してもお礼返しは不要とされている。ただ、感謝の気持ちを込めた手書きのお礼状は、必ず送っておきたい。

 職業倫理上、贈り物を受け取ることができないということもあるだろう。それを知ったうえで相手が贈ってきた場合には、受け取りを拒否しても失礼にはあたらない。それを相手が知らないようなら、理由を説明したうえで、丁寧にお断りすればいい。単に個人の主義でお祝いや贈り物を断りたい場合には、今回のみは受け取って、「このような理由で今後は辞退したい」と書き添えたお礼状を相手に送るのがマナーだ。

 人生の節目ともいえる大きな出来事に対するお祝いへのお礼については、上の一覧を見ていただくとして、日常の中でいただくお祝いへのお返しの要不要とそのタイミングをまとめておきたい。

 この春に、昇進や栄転を控えている人もいるだろう。お祝いをもらってもお返しは不要だが、早めの礼状は必須。定年や退職のお祝いの場合もお返しは不要で、後日、近況報告を兼ねたお礼の手紙を出すのがいい。

 子どもの入園や入学、卒業・就職・成人式にお祝いをもらったら、できるだけ早く本人と親の両方からお礼状の手紙を書いておこう。

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