※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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日本は世界有数の「鉄欠乏大国」とも言われ、ほかの先進国と比べて鉄不足の女性が多い。貧血の予備軍である「隠れ貧血」の段階から対策することが貧血予防になるほか、不定愁訴の改善にもつながることがわかってきた。

【イラスト図解】隠れ貧血、接種したい食材は?

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 日本人女性の10人に1人、月経がある女性では5人に1人は貧血がある。さらにその2倍以上の人が当てはまると推測されているのが「隠れ貧血」だ。貧血の前段階の状態で「潜在性鉄欠乏症」とも言われる。

 貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態を指し、血液検査で、ヘモグロビン値(血色素量)が成人男性の場合13g/dl未満、成人女性では12g/dl未満の場合に診断される。

 貧血は原因によってさまざまな種類があるが、最も多いのが鉄欠乏性貧血だ。ヘモグロビンは赤血球の中にあり、酸素と結合して全身に酸素を運ぶ。ヘモグロビンの材料となるのが鉄だ。

 体内の鉄が不足すると、まず肝臓などに蓄えられている「貯蔵鉄」が使われる。そして貯蔵鉄も枯渇すると、ヘモグロビン値が低下し、鉄欠乏性貧血となる。

 隠れ貧血は、ヘモグロビン値は正常だが、貯蔵鉄の指標であるフェリチン値が低下している状態だ。世界保健機関(WHO)は、思春期以降でフェリチンが15ng/ml未満であれば鉄欠乏としている。また「日本鉄バイオサイエンス学会」では、フェリチンの基準値を男女とも「25~250ng/ml」とし、「12~25ng/ml」は貯蔵鉄の減少、「12ng/ml以下」は貯蔵鉄の枯渇としている。

「平成21年国民健康・栄養調査」によると、フェリチン値が15ng/ml未満の成人女性は約23%。月経があり、特にフェリチンが減少しやすい20~40代の女性は約48%が15ng/ml未満だ。

■鉄剤で全身倦怠感や精神的な症状が改善

 隠れ貧血は、貧血の予備軍といえるだけではなく、倦怠感や息切れ、動悸、めまい、頭痛のほか、不安や不眠など、鉄欠乏性貧血と同様の症状が出やすいことがわかってきた。西崎クリニック院長の岡田定医師はこう話す。

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女性は妊娠や授乳期で鉄の需要が増す