2023年1月2日、新年一般参賀に出席された愛子さま(写真/アフロ)
2023年1月2日、新年一般参賀に出席された愛子さま(写真/アフロ)

「愛子天皇」待望論が続いている。現在の皇室典範によれば将来的に天皇となるのは秋篠宮家の長男、悠仁さまだ。しかし、愛子さまが成年皇族となった2021年以降、世間ではそのキーワードを目にする機会が増えた印象すら受ける。

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 政府サイドはピリピリ。世間では「新しい皇室」への期待感――それが「愛子天皇」というキーワードだ。

 オランダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー。男女同権が根付く欧州では、王室の王位を男女に関係なく継承させる国が増えた。オランダでは、愛子さまと同世代のアマリア王女が将来、女王として王位を継ぐ。ジェンダーフリーの価値観が自然なものとして浸透するなか、日本でも「愛子天皇」への期待は高まり続けている。

 世間と温度差があるのが政府サイドだ。

 皇室のあり方をめぐる政府の有識者会議は、岸田文雄内閣のもとで、「女性皇族結婚後も皇族の身分を保持」することと「旧宮家の男系男子の養子による皇族復帰」について検討を重ねていた。しかし、そこでは愛子さまの話題はタブーといった空気であった、と会合に参加した人物は振り返る。

「会合の場で、愛子さまのご活動について意見が出される度に、『皇位継承問題に関わることは……』と遮られた。愛子さまに関する話題は、タブーといった雰囲気でした。世間では『愛子天皇』といった話題が熱をもって語られている状況に対して、ピリピリしていたのでしょう」

 現在の皇室典範にのっとって、皇嗣である秋篠宮さまが皇位継承順位1位、長男の悠仁さまが2位だ。有識者会議の報告書にもはっきりと、「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」と書いてある。

 悠仁さまが将来天皇となることにゆるぎはない。政府サイドや一部の勢力が、愛子さまにかけているのは別の期待だ。

 2022年1月、先の有識者会議の最終報告書を受けたのち、政府は各党に皇族の減少について議論することを求めた。

 有識者で「旧宮家の男系男子の養子による皇族復帰」が議題に上がっただけに、関心が高まっているのが旧宮家の存在だ。

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「あくまで、ごく自然な形で」