山本大平さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
山本大平さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 確かに、昔は「こうすれば売れる」「これさえやっておけばよい」といった「成功の方程式」があって、それを解く、あるいはコピペすることで成果を挙げることができていました。言い換えると、組織に依存し、前例や慣習にならって言われたことだけこなしていればよかった。

 しかし、今日ではテクノロジーの進化や、世界情勢など外部環境が大きく変化し、「成功の方程式」が通用しなくなりました。事実、1989年の世界の企業の時価総額ランキングでは上位20社の実に14社を日本の企業が占めていましたが、2021年は50位以内にトヨタ自動車1社だけ(43位/2022年10月末現在)。日本企業は世界からますます劣後し、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代は過去の遺物になってしまいました。

 あまり暗い話をしたくありませんが、これが現実です。これまでの「成功の方程式」に頼っていた思考を変え、これまでとは異なる新しいサービスやアプローチを開発しなければ、この世界に劣後した状態からは抜け出せません。

 そのためにはどうするか? もはや組織に頼ることはできません。頼れるのは「自分」しかいません。前例や慣習にとらわれず、自分の頭で考えるための思考法を身につけるしか方法はないんです。

■明日、会社がなくなっても「サバイブ」できるか?

――自分の頭で考えるための思考法、と言われても、これまで組織に依存してきた思考法を変えるのはなかなか難しそうですね。

 確かに簡単なことではありませんよね。今までのやり方に依存するほうが楽ですから。

 でも、脅すわけではないのですが、勤めていた会社がある日突然なくなった、あるいは外資系企業に買収された、ということが現実に起こっています。極端に言うと、明日、突然無人島にポンと放り出されるかもしれない。そうなると、結局は組織に頼ろうにも頼れない状況に否応なく置かれてしまいます。

 そのように、無人島に放り出されても生きていく力、すなわち「サバイブ能力」が、これからのビジネスパーソンにはますます必要だと感じています。その「サバイブ能力」こそが自分の頭でアイデアを考え、行動に移すスキル、すなわち「独立思考」の本質です。

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不確実な世の中を「サバイブ」するために