アメリカ国内世論でも、台湾有事への米軍派遣への支持は決して高くない。シンクタンク「ジャーマン・マーシャル・ファンド(GMF)」が2022年~7月にNATO諸国14カ国で行った「中国が台湾侵攻した際に、あなたの国はどうすべきか」との世論調査において、アメリカでは、「外交的解決」との回答が26%、「経済制裁」が25%、「台湾への武器供与」が8%、「米軍派兵」は7%にすぎなかった。この7%との数字は、私の肌感覚からは少し低すぎるような気もするが、シカゴ・グローバル評議会の調査によっても「台湾防衛のための派兵」への支持は40%にとどまっている(同評議会の調査においては「外交および経済の制裁」は76%、「台湾への武器提供」は65%の支持。明示はされていないが、この世論調査は賛成するすべての選択肢に複数回答可で、先のGMFの世論調査では一つのみ選択可と思われる)。

 なお、NATO諸国14カ国全体の世論調査に至っては、台湾有事の際の台湾への武器供与は4%の支持、自国軍の派遣はたったの2%の支持である(同GMF調査。なお、この数字を2%に引き上げているのは米国の7%、カナダの4%である)。

■緊張緩和の外交を

 忘れてはならないのは、そもそも日本一国では、中国と戦争をするような理由は一つもない、ということである。尖閣諸島の領土問題からウクライナ戦争のような国全体を巻き込む戦争が起きることは考えにくい。現在の東アジア情勢において、日本全体が戦争の影響を受けたり、多くの国民に戦争の被害が及んだりすることになるのは、もっぱら米中との戦争に巻き込まれたとき、すなわち台湾有事の場面のみである(北朝鮮も気にはなるものの、北朝鮮は中国の後ろ盾がなければ何もできないことからすれば、問題の中心は中国との対立に限られる)。

<外交なんて、何もできない>

 いや、やれることは、数多くある。私も執筆者の一人である新外交イニシアティブ(ND)の提言「戦争を回避せよ」(今年11月末発表)に詳しく述べたが、例えば、米国に対しては、米軍の日本からの直接出撃が日米の事前協議の対象であることを理由に、台湾有事は日本のためにならないこと、そのため、台湾有事の際に必ずしも事前協議で賛同するとは限らないこと、を現時点から米国に伝え、過度の対立姿勢をいさめることができるだろう。

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