アンジェリーナ1/3さん。ラジオで講談師・神田伯山さんの代打パーソナリティーを務めた際も各方面から称賛された(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
アンジェリーナ1/3さん。ラジオで講談師・神田伯山さんの代打パーソナリティーを務めた際も各方面から称賛された(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

爆笑問題」の太田光さんが“これからのラジオをしょって立つと思う人物”として名を挙げたことでも話題になったアンジェリーナ1/3。突如現れた20歳のアーティストの素顔に迫る。

【写真】ロックバンド“Gacharic Spin”はこちら。

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 2019年、高校2年生のときに6人組バンドGacharic Spinに加入。マイクパフォーマーとして活動する一方、情報番組「サンデージャポン」のゲストコメンテーター、ラジオパーソナリティなど活躍の場を広げているアンジェリーナ1/3。ユニークな芸名は、彼女自身が日本、フィリピン、スペインの3つのルーツを持っていることに由来する(父方は日本、母方はフィリピンとスペインをルーツに持つ)。

 東京の下町で生まれ育った彼女は、中学1年で父親を亡くし、不登校を経験。その後、奨学金を利用して芸術系の高校に進学、文化祭の弾き語りライブがGacharic Spinのリーダーの目に止まったことをきっかけに、高い演奏技術で知られるロックバンドに加入した。若くして様々な経験を重ねてきた彼女が、新世代の発信者として注目を集めている理由とは?

■中学時代は不登校の時期も

 Gacharic Spinのライブステージでは自由に動き回り、歌とシャウトで観客を魅了。パーソナリティをつとめる「A世代!ラジオ」(文化放送)では、元気いっぱいの語り口と等身大の思いを込めたメッセージで広い世代の支持を集めているアンジェリーナ1/3。「与えてもらったチャンスには全力で応えたい」と笑顔で話す姿はポジティブそのものだが、中学時代には周囲から心を閉ざし、学校に行けない日々が続いていたという。

「中学1年のときに父親を病気で亡くした後、“いちばんつらいのは自分。この気持ちは誰にもわからない”と周囲をシャットアウトしてしまい、学校にも行かなくなって。そのときに支えてくれたのは、幼なじみの親友と音楽。SUPER BEAVER、UVERworld、ONE OK ROCKの曲に背中を押してもらってました。中3から少しずつ学校に行きはじめたんですけど、とにかく人と関わりたくなくて、登下校時も授業中もずっと音楽を聴いてましたね」

 音楽に救われた彼女は、「自分も音楽を発信する人になりたい」という夢を抱くようになる。その根底にあるのは、父親との思い出だ。

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森朋之

森朋之

森朋之(もり・ともゆき)/音楽ライター。1990年代の終わりからライターとして活動をはじめ、延べ5000組以上のアーティストのインタビューを担当。ロックバンド、シンガーソングライターからアニソンまで、日本のポピュラーミュージック全般が守備範囲。主な寄稿先に、音楽ナタリー、リアルサウンド、オリコンなど。

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