■石井一久監督(楽天) 評価:C

 4月から5月にかけては球団新記録となる11連勝を記録するなど順調なスタートを切ったが、シーズン終盤に失速し前年を下回る4位に終わった。先発投手陣は多くがベテランということもあってか1年を通じて状態をキープするのが難しく、2年目の早川隆久も成績を落とすなど苦しい状況となっている。野手も浅村栄斗、島内宏明の中軸2人は安定しているが、大きく成績を伸ばした選手はおらず、過渡期という感は否めない。GM専任時代から積極的な補強でチームを強化を図り、上位を狙える戦力にはなったが、投手も野手も若手の底上げは大きな課題だ。ここ数年で投資した金額は大きく、やはり優勝という結果ではないと評価されないだけに、来年が正念場のシーズンとなりそうだ。

■井口資仁監督(ロッテ) 評価:C

 2年連続2位ということで優勝への期待も大きかったが、3年ぶりのBクラスに沈み、シーズン終了後に退任が発表された。大きな課題となったのは長打力不足だ。レアード、マーティンの外国人選手2人が成績を落とし、ホームランはリーグ5位。山口航輝、安田尚憲が成績を上げたのは好材料だが、上位チームの中軸と比べると迫力不足だったことは間違いない。投手陣も佐々木朗希の前半戦の大活躍は見事だったが、怪我人が多かったこともあって、終盤は全体的に息切れした印象だ。若手を積極的に抜擢してチームを作り変え、上昇機運があった中での退任は残念だったが、今年の結果からはやはりC評価が妥当と言えるだろう。

■新庄剛志監督(日本ハム) 評価:D

 シーズン開幕前には最も高い注目を集めていたが、シーズンに入ると苦しい戦いが続き、5位から大差をつけられての最下位に沈んだ。昨年オフに主力3人がノンテンダーという形で退団し、戦力的に厳しい中で多くの若手を起用しながら可能性を探っていたことは理解できるが、明らかに奇をてらったような采配が目立ったことも事実だ。プレーに対して明らかに不服そうな表情を度々見せるなど、現場での立ち居振る舞いも疑問が残るシーンが目立った。来年は日本一を目指すと公言し、オフには積極的な補強にも動いているが、今年試したことをどう生かすことができるかが大きなポイントとなるだろう。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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