楽天・石井一久監督
楽天・石井一久監督

 オリックスの26年ぶりの日本一で幕を閉じた今年のプロ野球。ペナントレースではセ・パ両リーグとも昨年の優勝チームが連覇達成というシーズンとなったが、果たして指揮官の手腕はどうだったのか、改めて振り返ってみたいと思う。今回はパ・リーグの6球団だ。※評価はA~Dの4段階

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■中嶋聡監督(オリックス) 評価:A

 パ・リーグ連覇、そして26年ぶりの日本一を見事に達成。中嶋監督就任前の10年間はAクラス1回(2014年の2位・森脇浩司監督)だったことを考えると、やはりその手腕は高く評価されるべきだろう。今年は昨年ブレイクした杉本裕太郎と紅林弘太郎が成績を落とし、外国人選手も機能しないなど苦しい点も多かったが、一方で過去2年間苦しんでいた中川圭太が復活し、頓宮裕真も初の二桁ホームランを記録するなど中堅層を上手く伸ばした。投手陣も2年目の阿部翔太を筆頭にリリーフ陣の整備が進み、強力ブルペン陣は日本シリーズでも大きな威力を発揮している。若手だけでなく、あらゆる層の選手を引き上げて戦力にした戦いぶりは見事の一言だった。

■藤本博史監督(ソフトバンク) 評価:B

 就任1年目となったシーズン、惜しくも優勝は逃し2位に終わったものの、昨年のBクラスからの浮上を果たした。投手、野手とも主力に故障者が相次ぎ、外国人選手も機能しないなど1年を通じてシーズン前に想定していたベストメンバーで戦うことができなかったが、そんな中でも最後まで優勝争いを演じたことは評価できる。投手では大関友久、藤井皓哉、野手では柳町達、野村勇などが戦力となり、苦しい中でも上手くやりくりしていた印象だ。来年はエースの千賀滉大が抜けることが確実視されているだけに、投手も野手もさらに世代交代を加速させることができるかに注目だ。

■辻発彦監督(西武) 評価:B

 シーズン終了後には退任が発表されたが、昨年の最下位からAクラス浮上を果たした。特に大きかったのが投手陣の整備が進んだことだ。高橋光成がエースへと成長し、松本航、エンス、与座海人も1年を通して安定した投球を披露。リリーフ陣も平良海馬、水上由伸の2人を中心に全体的に層が厚くなった印象だ。一方の野手は故障者が多く、期待していた若手もなかなか一軍の戦力にならなかったのが上位2チームと比べての差に見えたが、それでも現有戦力を考えると、健闘したと言えそうだ。6年間トータルで見ても、優勝2回、Aクラス5回は立派の一言である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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