通勤時のマスクは屋外であろうと「半ば強制」のよう
通勤時のマスクは屋外であろうと「半ば強制」のよう

 今年の夏は、日本各地で最高気温が40度台を記録し、東京都心でも最高気温が35度を超える猛暑日が最多記録を更新するなど、連日暑い日が続きました。そんな中での新型コロナウイルスの第7波もあり、多くの人がマスクを着用しての生活であったと思います。炎天下でのマスクの着用は辛く、息苦しさを感じたことを覚えています。

 また、マスクの紐の部分が耳の後ろの同じところに当たっていたことに加え、夏の暑さで汗をたくさんかいたせいもあり、耳の後ろに炎症を起こしてしまったこともありました。どうしても同じ部分が当たってしまうことや、仕事柄マスクを手放せなかったこともあり、なかなか治らなかったことは辛い経験になりました。

 マスクの不適切な廃棄による環境汚染への影響も指摘されています。マスクが道路に落ちている光景をよく見かけるようになりましたが、悲しいことに、プラスチックの大量の誤食や、プラスチック袋や絡まることにより海や陸上の動物が命を落とす事例が相次いでいるようです。

 多くの使い捨てマスクは、ポリプロピレンやプリエチレン、ポリスチレンなどから構成されており、廃棄されたマスクは、最終的にマイクロプラスチックと呼ばれる5ミリ以下のプラスチック片に分解されるものの、それらが完全に分解されることはないため、陸上及び水生の生態系に影響を及ぼすことが指摘されています。

 Geyer氏らは、フェイスマスクの生産と消費の両方の増加により、プラスチック廃棄物が増加したことを指摘し、プラスチック廃棄物の 79% が埋立地またはその他の環境に行き着き、12% が焼却され、9% がリサイクルされたと推定しています。またLellis氏らは、フェイスマスクを染色している色素化合物や難燃剤、可塑剤のいくつかが、わたしたちの健康に有害であり、深刻なリスクをもたらす可能性があることを指摘しているのです。

 すでに多くの国では、マスクの着用義務は解除されています。マスクの予防効果は状況や種類によって変化することや、マスクの着用により完全にコロナを予防することができるわけではないこと、そして新型コロナ感染の大部分はエアロゾルを介した空気感染によるものであり、室内であっても換気することが感染予防に有効であることがわかってきているからだと言えるでしょう。

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海外から帰国しマスク生活に戻るのは辛い