今オフにソフトバンクから自由契約となった真砂勇介(写真提供・福岡ソフトバンクホークス)
今オフにソフトバンクから自由契約となった真砂勇介(写真提供・福岡ソフトバンクホークス)

 森友哉(西武)、嶺井博希(DeNA)、伏見寅威(オリックス)がFA権の行使を表明するなど、いよいよ本格化してきた今年のストーブリーグ。新外国人獲得の話も出てきており、12月には初の試みとなる現役ドラフトも行われる予定となっているが、それ以外の戦力補強として注目されるのがこのオフに自由契約となった選手たちだ。実績十分の選手や、プロ入り時に高い評価を得ていた選手も多く含まれており、水面下では調査をしている球団も多いはずだ。

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 最大の注目選手といえばやはりソフトバンクからの退団が発表された松田宣浩だろう。長年サードのレギュラーとして活躍し、チームの黄金時代を担うメンバーの1人だったが、今年はプロ入り後最低となる43試合の出場に終わった。功労者だけに指導者としてチームに残る選択肢もあったはずだが、現役続行を希望して退団を選択。現時点ではトライアウトには参加せずに他球団からのオファーを待つという。

 過去3年間の成績は高額年俸を考えると物足りないものの、それでもパンチ力はまだまだ健在で体の強さも持ち味だ。そして何よりもプレー以外の面でもチームを牽引する力を持っており、若手選手にとっては格好のお手本になることは間違いないだろう。一時は獲得調査をしていると報道の出た巨人は長野久義が広島から復帰したことによって少し熱が冷めているかもしれないが、常勝軍団を牽引し続けてきた経験は大きいだけに、他にも獲得を検討している球団はあるのではないだろうか。ホームランを放った後の“熱男”ポーズを見せてくれることを期待したい。

 同じくソフトバンクを自由契約となった選手では真砂勇介も面白い。10年間のプロ生活で一軍での通算成績は46安打、3本塁打と実績的には目立った数字を残すことはできていないが、恵まれた体格でパワーは申し分なく、右の柳田(悠岐)を意味する“ミギータ”という愛称でも知られている。また大型ながら打つだけでなく脚力があるのも魅力だ。今年も二軍ではチームトップとなる76安打を放ち、打率も.310と見事な成績をおさめている。チームの世代交代によってはじき出された形だが、環境が変われば一気にブレイクする雰囲気もあるだけに、右の強打者タイプが不足している球団にとっては狙い目の選手といえるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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