お金を預けるのは日本の銀行ですが、イメージとしてはアメリカの銀行に預金をする感じです。お金を預けたら、あらかじめ定められた金利の利息がつく。満期にそれらを受け取れるというシンプルな仕組みなので、初心者にもわかりやすいと思います。金利も日本と比べると10倍以上の差があったりします」

 デメリットは円をドルに換えるときと、ドルを円に換えるときに為替手数料がかかること。「銀行によっては1ドルにつき片道1円の手数料がかかるので、銀行選びが大切です」。

目利きがほしいドル建て保険

 三つ目のお勧めは、ドル建て保険だ。

「これは生命保険なので、要は『保障』です。例えば、家族のために万一の保障を準備したいと考えたとき、円建て保険よりも保険料を抑えることが可能です。保険会社に預けた保険料は外貨で運用されるので、運用収益が割り引かれているからです」

 解約返戻金を受け取るときに高い予定利率が反映されるので、保険でありながら教育資金や老後資金のためなど、運用目的で加入する人もいるという。

 一方、例えば毎月の保険料は為替レートによって変動する。

「そういった意味では家計管理がちょっとしづらいですね。あと、保険料を60歳払いや、65歳払いにされる方だと、その間ずっと為替レートが気になるかもしれません」

 最近、外貨建て保険を取り扱う保険会社が増えているという。「思いがけず、営業の方からドル建て保険の提案を受けることがあるかもしれません」。

 つまり、保険会社として「売りたい商品」なわけだが、どの商品を購入しても大丈夫なのか?

「それは選ぶ人によります。保険なので選ぶ人にメリットのあるものならいいわけです。例えば、保険料を抑えながら大きな保障を得たい人には、ドル建て保険の高い予定利率を活用するメリットがあります。でも、保障は不要で、より運用効率を高めたい人にとっては保険関係のコストが無駄かもしれません。これはドル建て保険に限ったことではありません。このへんは保険に精通した人に相談しないとコワイところがあるので、注意が必要です」

 当然のことながら、紹介してもらった三つのドル建て資産はいずれも為替変動によるメリットとデメリットがある。円安になれば資産は増えるが、円高になれば減る。

「購入した商品を振り返ったときに『何のために買ったんだっけ』とならないように、一番初めによく考えて購入していただきたいと思います」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)