大学は「単位認定科目」として、「国葬」で学生インターンを募集していた
大学は「単位認定科目」として、「国葬」で学生インターンを募集していた

安倍晋三元首相の国葬に伴い、海外からの要人を空港で受け入れる業務などに、ある私立大学の学生がインターンシップ(就業体験)として参加していることがわかった。AERA dot.の取材に対して、当該大学の広報は「海外からのお客さまと接遇する際のマナーやさまざまなオペレーション上の対応能力の向上、座学では学べない貴重な体験をしてもらうことで、学生の成長が見込める」としたうえで、各学科で定めた基準に従った単位認定科目であると答えた。世論が二分している国葬に、単位認定を前提に学生を動員しているとも捉えられかねない行為だが、他にも、募集要項には、さまざまな疑問が浮かび上がる内容が含まれていた。

【募集要項の中身を詳しく見る】

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 AERA dot.が入手した募集要項によると、インターンシップの受け入れ事業者は「株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル」で、海外要人を空港で接遇したり、車両へ誘導したりすることが主な仕事内容とされている。募集人数は30人程度。期間は、研修を含めて9月24日から29日までの6日間。募集要項には、1日目の研修に「8時間」、2日目~6日目の業務所要時間は「9時間+休憩」とある。単純計算すると6日間で53時間の労働になり、法定労働時間である1日8時間、1週間に40時間を越える業務になる。残業代については明記されていなかった。また、申し込み資格には、「日本国籍を有していること」が1つ目の条件に挙げられていた。

 実際には、何人の学生がインターンに参加し、どのくらいの時間、労働に従事しているのか。また、日本国籍を有していることを申し込み資格に入れている理由は何か。大学側に問い合わせたが、いずれも「提携先との契約により、お答えを控えさせていただきます」との回答だった。

 同インターンシップに参加した学生は、期間中の授業の課題をオンデマンドで提出することによって出席とみなされると記されている。さらに、学部として、「オンデマンド課題の提出による『出席』扱いなどの配慮を要請する」という文言もある。「最終的には各教員の判断によるため、課題の有無にかかわらず『欠席』扱いになる可能性があることを理解した上で、各自、(教員へ)配慮依頼を個別セクションで行う」という記述もあるが、これらはインターンシップに参加した生徒を「出席扱い」にするように教員に求めているようにも読める。

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大学が国の下請け機関になりかねない