西武の森友哉
西武の森友哉

 ソフトバンクと熾烈な優勝争いを演じているオリックス。2001年からの20年間で最下位が9回、18シーズンがBクラスと「冬の時代」を迎えていたが、変革の時期を迎えている。

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 昨季は中嶋聡監督の下で、前年度の最下位からリーグ優勝を達成。山本由伸、宮城大弥のダブルエースを筆頭に山岡泰輔、田嶋大樹、山崎福也と能力の高い先発陣がそろい、大型右腕の山崎颯一郎、セットアッパーの本田仁海、ドラ1右腕・椋木連、育成枠から支配下昇格した最速157キロ右腕・宇田川優希と将来が有望な若手が多い。野手に目を移すと、吉田正尚、杉本裕太郎、宗佑磨、紅林弘太郎、今季復活した中川圭太のレギュラー陣に加え、捕手は若月健矢、伏見寅威、頓宮裕真がハイレベルなレギュラー争いを繰り広げている。

 チームが強くなると、周りの見方も変わってくる。スポーツ紙の遊軍記者は、「オリックスでプレーしたいという他球団の選手が増えていると話題になっています。FA権を今季取得したある選手もオリックスに好印象を抱いていると聞きました。アットホームなチームカラーに加え、巨人阪神のように活躍しなかった時にメディアに過剰に叩かれることもない。今季はリーグ連覇を狙える位置につけている。黄金時代を築くために球団がFA市場に参戦する可能性は十分にあります」と指摘する。

 かつてのオリックスは、FAの不人気球団だった。18年オフに当時西武の浅村栄斗(現楽天)がFA権を行使した際、ソフトバンク、楽天との争奪戦で獲得に参戦したが、交渉の席に着く前に断りの連絡が来た。「門前払い」は異例の状況で、大阪出身の浅村の獲得を熱望していた球団関係者のショックは大きかった。一方で16年オフに糸井嘉男、18年オフに西勇輝が共に同じ関西球団の阪神にFA移籍。戦力ダウンを余儀なくされた。

 だが、決して資金力で他球団に劣るわけではない。14年オフに阪神との争奪戦の末、米国でプレーしていた中島宏之の獲得に成功。DeNAを退団した長距離砲のトニ・ブランコ、日本ハムをFAした小谷野栄一、広島の主戦投手だったブライアン・バリントンら他球団の主力も次々に獲得するド派手な大型補強を敢行した。残念ながらその後も低迷期から脱却できなかったが、球団の本気度は伝わってきた。

「一昔前は巨人が断トツの人気球団でしたが、FAで移籍した選手が活躍できていないケースが多い。結果を出さないとすぐにレギュラーから外されるので、他球団の主力選手も巨人に興味を示さないケースが増えています。FAの争奪戦でオリックスが参入した場合は十分に獲得のチャンスがあるでしょう」(スポーツ紙デスク)

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