子どもの立場からしても、緊急の場合にすぐに気づいたり駆け付けたりできないという心配を常に抱いて生活することになります。最近は高齢者世帯の見守りのためのさまざまなシステムが登場していますが、それでも不安はぬぐえません。

 厚生労働省の統計からみると、平均寿命から健康寿命(健康上の問題で生活が制限されることのない期間)を引いた年数、つまりなんらかの障害や不自由を抱えて生活しなければならない年数は、男性で9年、女性で12年だといいます。実際に、男性では75歳から、女性では80歳から要介護になる人口が増えてきます。

週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える高齢者ホーム2023』より
週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える高齢者ホーム2023』より

 要介護の原因として、脳卒中や認知症などの病気、老衰、転倒による骨折などがあり、最近は熱中症やヒートショックも健康をおびやかすとして、注意が呼びかけられています。こうしてみると、住環境が招くリスクが多いことがわかります。

 健康寿命を少しでも延ばして、はつらつとした生活を一日でも長く送りたいと誰もが願います。そのためには、生活習慣の改善で要介護リスクを減らすだけでなく、不便・不安な住環境を見直し、高齢者に適した環境に整え直すことも重要なポイントになります。一つの方法として、住み替えを考えてみませんか。

(文/別所 文)

※週刊朝日ムック『早めの住み替えを考える高齢者ホーム2023』より