具体的には、皮膚生検と言って、米粒ほどの皮膚を局所麻酔下で切除し、顕微鏡で観察することになります。IgA血管炎と診断されれば、腎臓にダメージがきていないか尿検査で確認します。血尿や尿たんぱくがあれば腎臓内科の医師と連携して治療にあたる病気です。

■バチ状指

 両手の指先が腫れ、太鼓のバチのように膨らんだ状態をバチ状指といいます。正常では、爪の付け根は皮膚と爪の谷となっており、「爪―爪の付け根―皮膚」の角度は谷状に160度あります。しかしバチ状指では「爪―爪の付け根―皮膚」の角度が山状になり、180度以上に変わります。バチ状指が見つかった場合は、肺がんなどの肺疾患が合併することがありますし、一部の先天性心疾患や肝疾患が見つかる場合もあります。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 バチ状指は痛みが出るわけではないので、指先がおかしいと気がついてもこれだけで病院を受診する人が少ない症状です。このコラムでは何度も伝えていますが、痛くないから大丈夫というのは間違いで、痛くないがために見落としやすい皮膚の病気がたくさんあります。指先の変化にもぜひ気をつけてみてください。

 今回は皮膚の症状から内臓の病気を疑う疾患・症状として、皮膚筋炎、IgA血管炎、バチ状指を紹介しました。実はほかにも多数の皮膚疾患が内臓と関連しており、皮膚をみて内臓の病気を発見するケースが多々あります。ほかの病気についてもまたいずれ紹介していきたいと思います。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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