「母親の入会は1998年ごろだと思いますが、二十数年前なので正確な情報はありません。破綻(はたん)されたと聞いていますが2002年ごろだったと思います」

「この方がどのくらいの献金をされたのかも含め、二十数年前の記録までたどりきれません」

「破綻されていたことは知っています。その後、このご家庭に高額献金を要求したかは記録上一切残っておりません」

 などと述べ、

「献金額はご本人の心情に基づいて献金されているものと受け止めています。ノルマという扱い方はしておりません」

 と説明した。

 また、過去に、高額な物品を購入させる霊感商法や高額な献金が社会問題化し、トラブルなどが起きたことを踏まえ、2009年以降、「末端にいたるまでコンプライアンスの徹底を進めてまいりました。09年以降の案件で、そのようなトラブルはありません」として、献金でのトラブルは起きていないと話した。

 今回の事件については、もし旧統一教会への恨みが犯行の動機であれば、「重く受け止める」との見解を示した。

 *  *  *

 12日には、旧統一教会の問題に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が都内で会見を開いた。

全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士(右)と、紀藤正樹弁護士
全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士(右)と、紀藤正樹弁護士

 連絡会の弁護士は「(旧統一教会の)霊感商法や献金の問題はいまだに続いている」と指摘し、最近でも、裁判になった事例や被害相談も寄せられているという。

 連絡会によると、昨年末までの約35年で、弁護士や消費生活センターが受けた旧統一教会に関する相談は3万4千件以上あり、被害総額は約1237億円。昨年までの5年間に限っても約580件、約54億円だという。

 弁護士の説明では、現在でも「『全ての財産は神様。全てささげなさい』というのが統一教会の教え」であり、その結果、家庭崩壊につながっていくのだという。

 一方、前日の旧統一教会側の会見で、山上容疑者が、安倍元首相がメッセージを送ったと主張した団体は友好団体で、旧統一教会とは別との説明をしたことに触れ、「“統一教会”と実態は同一だ」と主張した。

(AERA dot.編集部・取材班)

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旧統一教会「献金のトラブルは起きていない」 弁護団「問題はいまだに続いている