「桜を見る会」であいさつする安倍晋三首相(当時)=2019年4月
「桜を見る会」であいさつする安倍晋三首相(当時)=2019年4月

 安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた「前夜祭」の問題が再燃している。サントリーがビールや焼酎、ワインなどのアルコール飲料を2016年から19年にかけて、前夜祭で無償提供していたことがわかったからだ。きっかけは、安倍氏の元公設第1秘書が政治資金規正法違反(不記載)で罰金刑を受けた事件で、東京地検が開示した刑事確定記録だった。そもそも2年前にわかっていたことがなぜ今ごろ?

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 市民団体の「権力犯罪を監視する実行委員会」は6月10日、安倍氏本人と2人の元秘書、そしてサントリー担当者の計4人について、政治資金規正法違反の疑いがあるとして東京地検特捜部に告発状を提出した。

 実行委員会共同代表の岩田薫氏は、告発に踏み切った理由をこう語る。

「『桜を見る会』前夜祭の問題は、結局、公職選挙法違反容疑などに問われた安倍氏本人は嫌疑不十分等で不起訴になった。安倍氏の公設秘書だけが約3022万円の収支を政治資金収支報告書に記載していなかったことで略式起訴され、罰金刑になり100万円を払って幕引きがはかられた。だけど、新たにサントリーの酒の無償提供問題が出てきて、この問題が終わりではなくなった」

 岩田氏は、長野県軽井沢町議を1期務め、その後は環境や教育問題を取材しながら、政治家や官僚らの不正を告発してきた。

「サントリーの酒の無償提供については、政治資金規正法違反容疑の疑惑に絞りました。酒を無償提供したサントリーも被疑者に入れましたが、会場となったホテルは入れていません。ホテルの伝票には『持ち込み料金はサービスします』とあり、持ち込み料を取らなかったことが寄付とも解釈でき、その部分は今後、追加するか検討材料だと思っています」

 サントリーの酒の無償提供が明るみに出たのは5月下旬。安倍氏の元公設第1秘書・配川博之氏が政治資金規正法違反(不記載)で20年に罰金刑を受けた事件で、赤旗日曜版がスクープした。同紙のデスクはこう語る。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今度こそ捜査のメスを入れて欲しいという思いを込めて