表向きにはまだ大きな対立が見えるわけではないが、世耕氏のように、すでに布石を打ち始めている様子がうかがえる。

 石田氏が宏池会に入ったのも、そうした意思の表れとの見方がある。

「石田氏は『1減になっても絶対に引かない』と話していました。そうでなきゃ、わざわざ宏池会に入らないでしょう。次期衆院選では、新しい和歌山2区から出る決意の表れではないでしょうか」(宏池会の国会議員)

 一方の参院和歌山選挙区。自民では現職の鶴保庸介元沖縄北方担当相が立候補している。

「鶴保氏は二階氏の側近中の側近。その支援のため、二階氏は和歌山に戻り、応援に奔走する予定となっているそうです。衆院選でライバルになる2人を牽制しようとしているのでしょうかね」(前出の二階氏の支援者)

 衆院で中選挙区制から小選挙区比例代表並立制への変更、参院での定数減を経験している参院議員の増子輝彦氏(福島選挙区=引退表明)は、今回の衆院の区割り改定案について、

「一票の格差は是正すべきです。議員が多ければいいというものではなく、使命感、責任感を持って地域の声をしっかり聞いて政治をやれるのか、大事なのは質です。私の場合は、参院で定数減となったとき、政党に頼るより、政治家としてより自分を理解してもらう、そういう活動により力を入れました。政治家が自分の議席が危ないなどという、自己保身で定数削減を批判してはいけません」

 と話している。

  ◇   ◇   ◇

 参院選和歌山選挙区では鶴保氏のほか、いずれも新顔の共産・前久氏、NHK党・遠西愛美氏、政治団体「参政党」・加藤充也氏、政治団体「新党くにもり」・谷口尚大氏が立候補している。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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