自民党の二階俊博・元幹事長
自民党の二階俊博・元幹事長

 衆院小選挙区「10増10減」の新たな区割り改定案で1減となる和歌山県。自民党の二階俊博元幹事長の地元だが、重鎮とはいえ手放しで安泰といえる状況ではなさそうだ。当初は二階氏と石田真敏元総務相で二つの席を分け合うとみられていたが、世耕弘成参院幹事長が衆院へのくら替えを示唆したことで混沌(こんとん)としてきた。参院選にも影響しそうだ。

「二階氏の威光が通じるのかどうかだな」

 そう話すのは、二階元幹事長の地元、和歌山県の支援者だ。

「10増10減」案では、和歌山は1減となり、現在の定数3から2に減る。大まかに分けると、新1区には県庁所在地の和歌山市と周辺の自治体が含まれる。新2区はそれ以外となる。

 現在、二階氏は3区。今年1月に宏池会に入った石田元総務相が2区というすみ分けになっている。

 そして現在の1区は、昨年の選挙で国民民主から出馬し、現在は無所属の岸本周平氏だが、今年12月に任期満了となる県知事選挙への出馬を表明している。

 前出の二階氏の支援者がこう話す。

「知事にくら替え表明の岸本氏は野党だが、二階氏とも近い。1減を見込んで、二階氏が知事に転出させたのではないかともいわれ、二階氏と石田氏で二つになる選挙区を分け合う算段だったとされている」

 ただ、その算段通りにいかない事情が出てきた。

 というのも、今年3月のテレビ番組で、参院和歌山選挙区選出の世耕参院幹事長が、

「政治家になった以上、トップを目指したい。参議院からも目指すことはできるけど例がありません」

 と発言。周囲は、世耕氏が首相の椅子を狙うため、衆院へのくら替えも辞さないとの考えだ、と受け止めているという。

「世耕氏がいわば参院から衆院へのくら替えを示唆したことで、ますます情勢は混沌としつつあります。83歳になろうが二階氏は健在で、最近も『やろうじゃないか、しっかりやる』と東京で話していました。定数減でどうするのかと、突っ込んで尋ねる勇気がある人はいません」(前出の支援者)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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石田氏「1減になっても絶対に引かない」