今年4月、東京都立立川国際中等教育学校附属小学校が開校しました。全国初の公立小中高一貫校として注目され、一般入試の倍率は約30倍に。どんな特徴がある学校なのでしょうか。好評発売中の子育て情報誌『AERA with Kids 2022夏号』で、市村裕子校長に話を聞きました。

MENU 探求的な学びで三つの技を身につける 通常より1千時間以上多い外国語学習
写真/編集部撮影
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〇市村裕子先生/東京都立立川国際中等教育学校附属小学校長。1991年に都立高校の英語教員となる。2017年4月~ 18年3月、都立深川高校長。21年4月から現職。

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「社会全体が大きく変わり、正解のない課題が多くなりました。多様な人たちと協働し、納得解や最適解が求められる社会へとシフトしているのです。そうした時代に対応できる人材を育成するために本校は開校しました。東京都としても新しいチャレンジです」

 市村校長は、開校の背景をこう語ります。

 小中高一貫校の魅力と言えば、やはり12年間にわたって同じ教育方針で学べること。同校では、高校卒業後の姿として“高い言語能力を活用して、世界の様々な人々と協働するとともに、論理的な思考力を用いて、諸課題を解決し、様々な分野で活躍する人材”と掲げています。

 教室の窓には「Be a Pioneer(開拓者たれ)」と書かれ、次世代のリーダーを育てる場として期待が高まります。

各教室の窓には「BE A PIONEER(開拓者たれ)」と書かれている(写真/東京都立立川国際中等教育学校附属小学校提供)
各教室の窓には「BE A PIONEER(開拓者たれ)」と書かれている(写真/東京都立立川国際中等教育学校附属小学校提供)

探求的な学びで三つの技を身につける

 教育課程の一番の特色は「探究的な学び」です。小学校1、2年では生活科の授業と、日常の学校生活の中で、自ら考える方法を体験を通して身につけていくそうです。

「例えば、植物を見たり、触ったり、においをかいだりして体験的に“調べる技”を身につけます。そこから『この花はほかの花となぜ違うんだろう?』などの問いを立て、比べる、例える、分類するなどの“考える技”を使って考えます。そして、わかったことを絵にしたり、文章にしたりする“表現する技”を用いて発表するところまで、意図的にプロセスを学びます。こうした技をたくさん持つことで、将来的に自分で課題を発見し、解決するためのアプローチを考えられる力が身につくと思います」

 小学校3年からは「総合的な学習の時間」で、高校1年からは「総合的な探究の時間」で、より学びを深めます。

探求的な学びの拠点「ラーニング・コモンズ」が今夏完成予定(東京都立立川国際中等教育学校附属小学校提供)
探求的な学びの拠点「ラーニング・コモンズ」が今夏完成予定(東京都立立川国際中等教育学校附属小学校提供)
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越膳綾子
ライター 越膳綾子

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