他方でライバルである慶應義塾大の志願者を見ると、20年は約3万8千人、21年は約3万7千人、22年は約3万8千人と安定的に推移している。近年は「まったく動きがない」(別の有名私大の入試担当者)と言われるほど、入試において目立った動きはない。

 慶應義塾大は東京歯科大歯学部を統合することを20年に発表し、大きな注目を集めた。慶應義塾大は医学部、薬学部に加えて歯学部を持つことで、早稲田大にはない医歯薬系の研究力やブランド力などを強化する動きを見せている。前出の近藤氏は今後の慶應義塾大の動きについてこう語る。

「現在の高校1年生は新学習指導要領に基づく授業を受けており、それに合わせて入試も変わる。その内容は、この夏ごろから各大学で公表される。慶應の入試は近年大きな改革はなかったので、ここで受験生への強いメッセージを含んだ新しい入試を打ち出す可能性はあります」 

 早稲田大の勢いはどこまで続くのか、慶應義塾大がどう動くのか、注目される。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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