峰なゆかさん(撮影/松永卓也)
峰なゆかさん(撮影/松永卓也)

 育児雑誌や自治体のパンフレットに掲載されている“常識”も、峰さんとっては違和感だらけだった。たとえば「授乳はママにしかできません」「パパはできることを手伝いましょう」などの記述は、当然のように母親と父親の役割を決めつけるものだと感じていた。作品では、「チャラヒゲ」に育児雑誌の記事を読ませて不適切な箇所を添削させる、という場面が出てくるが、このエピソードは読者からとても反響が大きかったという。

「母乳の生産はできなくても、(搾乳をしたり、粉ミルクを用意したりすれば)授乳自体は父親にもできます。本当に間違った情報がたくさん載っているんですが、今でもそれを目にする度に赤ペンで直したくなります(笑)」

「アラサーちゃん」を執筆していた時は、昼夜逆転の生活だったというが、“わが子ちゃん”が産まれてからは、夜9時には寝るのが習慣になった。

「わが子ちゃん(現在2歳)が、保育園に行っている間しか仕事ができない状況になってからは、その時間で集中して書くようになりました。独身時代は1日1時間半くらいしか書いていなかったので、逆に仕事する時間は長くなりましたね(笑)」

「わが子ちゃん」には、妊婦体験をした男性の安易な共感への批判や、妊婦がおじさんからいかに「なめられているか」を痛感した体験など、他では読めないエピソードが満載だ。女性が共感できるのはもちろん、男性は女性の本音を探る参考書としても使えるかもしれない。(AERA dot.編集部 岩下明日香)