一部報道では、田口容疑者は振り込まれた金を「ネットカジノで全部使った」と供述したとされる。詐欺を働いた動機については量刑にどの程度影響するのか。

「例えば殺人罪の場合、介護による苦しみの末の犯行か、怨恨(えんこん)かで量刑は大きく変わってきます。ただ、財産犯はそれとは違い、動機が遊興目的でも仮に生活苦だったとしても、量刑への影響は限定的と考えられます」

 片田弁護士は、今後の展開をこう予測する。

「例えば田口容疑者側から半額程度の返済による示談が提案されたとしても、全国的に大きく報道されていること、また、地方自治体である町側が容易には債権の一部放棄に応じないことを考えると、『半額程度で折り合いをつけ示談に応じる』ということは、町としてはしづらいのではないでしょうか」

 田口容疑者の代理人は、返還方法について「(田口容疑者が)働いて返すしかない」と話しているというが、裁判にかかる費用も含め、市民の税金が戻ってくるかは依然として不透明だ。(AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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