高校野球で審判が判定ミスを認め、謝罪した上で状況を変更する。「異例の判断」が大きな反響を呼んだのが、3月20日に行われた選抜高校野球1回戦の広陵-敦賀気比戦だった。
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問題のプレーは広陵が2点リードの4回に起きた。無死一塁で、打者が犠打で転がした打球が一塁線上に転がる。球審はフェアの判定をしたが、二塁塁審がファウルのジェスチャーをしたため、一塁走者が走るのをやめて一塁に戻った。二塁塁審の明らかな「誤審」で、一塁走者が二塁に進めず併殺が完成する形になったが、このプレーが起きた直後に、4人の審判が協議を行い、犠打による走者の二塁進塁が認められた。尾崎審判は場内アナウンスで状況を説明。「打球がイレギュラーバウンドでフェア地域に転がりまして、フェアの判定を致しました。しかしながら、二塁の塁審がそれを誤ってファウルのジェスチャーをしてランナーを止めてしまいました。守備は打者走者を一塁でアウトにしようという守備行為でしたので、私たちの間違いです。止めたランナーを二塁に進めて1アウト二塁で再開いたします。大変申し訳ありません」と謝罪し、スタンドから大きな拍手が起こった。
「審判の判定は絶対」とされている中、一度行った判定を覆して謝罪するケースは極めて珍しい。過去にも一つのプレーを巡る「誤審」が勝敗を左右した試合があった。高校野球だけではない。プロ野球でも国際試合でも見られた。代表的な試合が「世紀の大誤審」として、日本国内で怒りの声が殺到した2006年の第1回WBCだ。
2次ラウンド1組の日本-米国戦(エンゼルスタジアム)。3-3の同点で日本が攻撃中の8回1死満塁に「事件」は起きた。岩村明憲が左翼へフライを打ち上げ、3塁走者の西岡剛がタッチアップからホームを駆け抜けたが、米国守備陣は西岡の離塁が早いとアピール。2塁塁審が両手を広げて「セーフ」を宣告したが、米国代表のバック・マルティネス監督の抗議を受けた球審のボブ・デービッドソンはアウトに判定を覆した。日本代表の王貞治監督が猛抗議するが認められず、判定はアウトのまま。リプレー映像を確認する限り、左翼手のランディ・ウインが捕球した瞬間と西岡の離塁は同時だった。米国報道陣も「何度見てもセーフだよ」と認める誤審で勝ち越しが認められず、日本はサヨナラ負けを喫した。