※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 不眠症とは、よく眠れないことで心身に不調をきたしたり、仕事に支障をきたしたりと、生活に影響が及ぶことをいう。不眠の症状が続くときは、医療機関に相談することを考えたい。治療は、生活の見直しと薬物療法を並行しておこなう。新しい薬も登場しており、症状に応じて医師から十分な説明を受けたうえで治療することが望ましい。

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 不眠症の主な診療科は精神科や心療内科などだ。睡眠薬の処方は内科などでも可能だが、不眠症の正しい診断と適切な治療選択のために「できれば不眠症の診療経験が豊富な医師を受診してほしい」と国立精神・神経医療研究センター病院睡眠障害センター長の栗山健一医師は話す。

「不眠症状がうつ病によることや、別の睡眠障害によるものである可能性もあります。その鑑別も含め、不眠症の診断には経験に基づく専門的な知識や判断力が必要です」

 不眠症以外にも、睡眠中に呼吸が停止する「睡眠時無呼吸症候群」や、夜型生活などにより体内時計が狂う「概日リズム睡眠・覚醒障害」など、さまざまな睡眠障害がある。スリープ・サポートクリニック理事長の林田健一医師はこう話す。

「就寝時に足の不快感が生じる『むずむず脚症候群』や、睡眠中に腕や足が勝手に動く『周期性四肢運動障害』などでも眠れないことがあります。その場合は不眠症とは治療のアプローチが違うため、鑑別診断が重要です」

 不眠症が疑われる場合、まずは症状について詳しく問診をおこなう。どのように眠れないのか、不眠により日中どのような困ったことがあるのか、不眠以外の身体的、精神的な症状や生活習慣などについても詳しく聞いたうえで診断をおこなう。

 不眠症には診断基準があり、(1)「なかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚める」「早朝に目が覚めてしまう」など不眠症状がある、(2)症状が週3回以上、3カ月以上続いている、(3)不眠の症状により日中の生活に何らかの支障をきたしている、という場合に診断される。

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