練習中、プーさんをなでる羽生結弦
練習中、プーさんをなでる羽生結弦

 北京五輪のフィギュアスケート会場で、招待客にぬいぐるみの持ち込みが禁止されていることが大きな反響を呼んでいる。

【写真】羽生結弦の演技後、プーさんがたくさん投げ入れられたスケートリンクはこちら

「コロナ感染対策もありますが、13年6月に中国の習近平国家主席が訪米した際、『くまのプーさんに似ている』と話題になりました。中国の体制を批判する際にプーさんの写真が使用されることが多くなり、ネット上で検閲できなくなっているんです。羽生結弦の演技後は、プーさんのぬいぐるみがリンク上に投げ込まれるのが定番になっていました。今回のぬいぐるみ持ち込み禁止は、『中国が政治的風刺に使われることを懸念したのでは』と囁かれています」(スポーツ紙記者)

 日本では選手がパフォーマンス後にぬいぐるみをリンクに投げ入れる光景が日常になっている。だが、実は海外では一般的ではない。もちろんぬいぐるみを投げ入れる客もいるが、羽生がすべった後のように大量のプーさんのぬいぐるみが銀盤に埋め尽くされる光景は見られない。海外メディアも「まるでフェスティバルのようだ」と目を丸くするほどだった。

 コロナ禍の直前の19年12月の全日本選手権前に、「花束・プレゼントの投げ込みは、競技進行の都合およびお客さまの安全確保のため禁止とさせていただきます」と公式サイトで発表されたが、20年2月に韓国で開催された四大陸選手権ですぐに復活している。

 コロナの感染拡大で再び投げ込みが中止になったが、テレビ関係者は「プレゼントを投げ入れる行為を禁止してほしいと思っている選手は多い」と証言する。

「ぬいぐるみを投げ入れた際、リンクの氷にぬいぐるみの毛や繊維が落ちるため回収できず、次に滑る選手のスケートの刃に引っかかる危険性があるんです。袋に入れて投げても大量に投げ込まれれば氷の表面に凹凸ができてしまう。それほど繊細なのです。また、次の選手が演技前にリンクを確認する時間を削られるのも問題視されていました。羽生選手の後などはプーさんのぬいぐるみや花束が大量に投げ込まれるため、片付けに時間がかかってしまう。ファンが感謝の意を込めてプレゼントを贈る大切な時間だったので選手も異を唱えにくかったですが、パフォーマンスに影響が出てくる事態になると看過できなくなる。リンクへのプレゼント投げ込みを復活するかは、選手たちにもヒアリングした上で慎重に検討すべきだと思います」(同前) 

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「禁止条項は良いと思う」の意見も