すると次の打席、マーリンズ投手が今度はモーガンの背中を通る危険な球を投じると、モーガンはとてつもない勢いで投手に猛チャージ。マウンド付近で格闘家ばりのジャンピングパンチを繰り出した。しかしパンチはヒットせずに逆に横からやって来たマーリンズ一塁手(元楽天のギャビー・サンチェス)のエルボーを食らってしまい、揉み合いの下敷きに。その後、乱闘の輪から脱出したモーガンが両手を挙げてスタンド方向へ大きな声で何かを叫ぶと、マーリンズの本拠地ファンたちから大きなブーイングを浴び、グラウンドを去っていくのであった。

 モーガンはこの乱闘以外にも、外野フライを捕り損ねてグラブを叩きつけ悔しがっている間にランナーの進塁を許したり、フェンス際でフライ捕球の邪魔となったファンを小突くなど、オースティンと同じく日本時代とは違う一面をのぞかせている。

 日本人選手を含めアジアの選手はおとなしいイメージがあるが、メジャーでの乱闘で相手チームの選手に“飛び蹴り”を見舞ったのが元オリックスの韓国人投手・朴賛浩(当時ドジャース)だ。投手としては野茂英雄と同時代に「オリエンタル・エクスプレス」として活躍した朴賛浩だが、プレー以外で目立ってしまったのが1999年6月5日のドジャース対エンゼルス戦でのこと。

 朴賛浩は5回、打者として投手前への送りバントを成功させるが、相手投手ティム・ベルチャーの胸付近への“強めのタッチ”に不快感を示す。朴賛浩が「ふざけるな!」という態度でベルチャーに何かを言うと、ベルチャーは「早くベンチに帰れ」と言わんばかりのジェスチャーで応戦。すると、その反応に我慢ならない朴賛浩が顔にエルボーを見舞い乱闘がスタート。ベルチャーも反撃すべく朴賛浩に向かっていくと、それに対し朴賛浩は飛び蹴りを放った。ベルチャーも飛び蹴り後にグラウンドに倒れた朴賛浩にパンチを数発浴びせたが、結果的に退場になったのは朴賛浩のみとなった。

 その日の退場に加え、7試合の出場停止処分となった朴賛浩は「タッチが必要以上に強すぎたし、罵りの言葉もあった」とコメントしたが、ベルチャーは「強めのタッチも罵りも野球の一部」だとし、朴賛浩の振舞いを「未熟だ」と切り捨てている。

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国際試合で“故意死球”を指示した助っ人は?