また、一緒に番組に出演していた立憲民主党の小川淳也政調会長から「岸田首相には、聞く力より実行する力が求められるのではないか」と指摘を受けた。すると、高市氏は岸田首相にやんわりと「苦言」をこう呈した。

「菅内閣の時の西村(康稔コロナ担当)大臣が記者会見しすぎという指摘があった。西村大臣や菅前首相と専門家が一緒に記者会見という場面多かった。ワクチンでファイザーのあと(3回目接種が)モデルナで不安に思っている国民もいます。岸田首相は問題ないというが、発信が不足している。科学的根拠でこうだという発信力強化が求められる」

 しかし、この高市氏の発言に自民党幹部はこう苦言を呈する。

「小池氏の動きがにぶく、岸田首相も検討を繰り返す中で、高市氏の弁舌は光りましたね。岸田首相と高市氏の間はギクシャクしている。高市氏は安倍派に戻りたいが『お呼びがかかりません』といっているので、絶好の見せ場だったのでしょう。ただ、オミクロン株は重症化リスクが低いとされている中、緊急事態宣言の発出にあそこまで踏み込むのは、言い過ぎではないのか」

 高市氏も発言の反響が大きかったことに気づいたのか、番組終了後に自身のツイッターでこう火消しに走った。

<今朝のNHK「日曜討論」で、「状況が悪化した場合の緊急事態宣言の可能性」を問われたので、「可能性はある」と答えましたが、現状で緊急事態宣言が必要とは言っていません。あくまでも、重症病床使用率や死亡者数など「状況が悪化した場合」です>

 自民党で政務調査会の調査役を長く務めた、政治評論家の田村重信さんはこう解説する。

「高市氏の発言は党と官邸のすきま風を思わせますね。緊急事態宣言という国家にかかわるような重要ことに対する発言は、事前にすり合わせが必要です。岸田首相が言いづらいことを高市氏が先にアドバルーンあげて地ならしするのが普通。しかし、高市氏がNHKの全国放送で言いたいことを言い、翌日に岸田首相がそれを否定する。政権与党として格好悪いですよ。小池氏がそうだったように政府に厳しいこというと、国民受けはいいんです。高市氏も岸田首相とうまくいかず、あの発言は焦りがあったのではないか」

(AERAdot.編集部 今西憲之)