九州地方郵便局長会の会員誌「九特」
九州地方郵便局長会の会員誌「九特」

 なかでも長崎市の長崎住吉郵便局の元局長の男は、局長になった1990年代から20年以上にもわたり、顧客や知人らから10億円超をだまし取っていた。この局長が親と子と3代にわたる「世襲局長」であり、3世代で同じ郵便局の局長ポストを独占し続けていたことが、犯行の発覚を遅らせた一因だとみられる。

 このため日本郵便は、家族間で局長ポストを引き継ぐことはなくし、別の局長を間に挟むことにした。さらに親会社・日本郵政の増田寛也社長は、転勤なしが原則となっている旧特定郵便局長の転勤を増やす考えも示している。

 だが、宮下氏は増田氏の発言に対し、「局長の転勤が会社にとって無益だと会社もわかっているので、むちゃな転勤にはつながらないと思います」と牽制している。

 一方、朝日新聞が郵便局舎について報じたのは、過去3年に移転した郵便局の少なくとも3割の不動産物件が、現役の局長によって取得されているという調査結果だ。民営化後は、従業員が拠点となる物件を新たに取得して賃料収入を得られるのは「本当にやむを得ない場合」に限っているにもかかわらず、不自然さが際立っている。

 宮下氏は局舎物件の取得について「社外取締役の影響力がどう出るのか心配しており、状況をよく見極めながらの対応を迫られることになる」としている。この問題は日本郵便による自主調査が今も続いている(参照)。

 あいさつの終盤で、宮下氏はこう語っていた。

「少子高齢化で疲弊している地方にとっては、民間金融機関や商店が軒並み閉鎖に追い込まれていく中にあって、郵便局は最後の砦であります。人がいる限り絶やしてはいけないのです。政治課題は、すなわち、地域の発展でもあると思います」

「郵便局の信頼はまだまだ捨てたものではありません。この信頼力が来年の選挙に数となって現れる。前回の数を一票でも超える結果となるべく取組をお願いいたします。いろんな外圧がありますが、知恵を出して頑張って参りましょう」

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今夏の参院選挙でもノルマ