大阪市北区曽根崎新地で24人が死亡したビル火災で、大阪府警は60代の男が火元の心療内科クリニックに来院直後に放火したとみて、殺人と現住建造物等放火の容疑で捜査本部を設置した。
「男は雑居ビル4階のエレベーターから降り、すぐ前のクリニックのフロアに手にしていた紙袋を暖房機器近くに置き、倒したところ、火の手が上がったとその場にいて助かった人が話している」(捜査関係者)
クリニックに火を付けたとされるのは、現場から西に約3・5キロ離れた同市西淀川区に住む患者の61歳の男。心肺停止状態で搬送され、容体は重篤という。
事件が起こる30分前に、男の自宅で火事があり、放火とみられている。男は20数年前に自宅を購入していたが、近所の人はこう話す。
「ここ数年は誰も住んでいませんでした。それが1か月前くらいに急に、男が引っ越してきたので、挨拶しました。17日朝、男の自宅から火が出て、消防車が何台もきて大騒ぎでした。男が自宅に放火したようだと警察から聞きました」
男の知人によれば、男は西淀川区、淀川区周辺を転々として暮らしていたという。
「北新地の火災があり、西淀川区でも火事があったとニュースで聞いて、もしやと思い、訪ねてみると、男の自宅でした。普通に仕事をしていたと思います。しかし、ここ数年は体調を崩して仕事はしている様子はなく、『福祉のお世話になっている』と話していました。男は酒好きでアルコール依存症になり、火災のあった心療内科クリニックやいくつかの病院に通っていたと聞いた。『病院に行き、いろいろ薬をもらうが、よくならない』と愚痴っていた。そして、酒を飲んでは暴れて、悪態をつく。短気で、酒乱のようなところがあった。コロナ前は自宅近くの飲み屋でもトラブルを起こしていました。だから男を知る別の人も、ひょっとしてと言っていた。ただ、放火と聞いて、そんな大きなことができるような人間ではないと思うのですが……」(男の知人)