2021年3月22日に労基署が立ち入った際、女性は調査官と一緒に防犯カメラが1階と2階のエレベーター付近に防犯カメラがないことを確認しているという。三菱電機側の主張とは食い違う。画像の一部を加工しています
2021年3月22日に労基署が立ち入った際、女性は調査官と一緒に防犯カメラが1階と2階のエレベーター付近に防犯カメラがないことを確認しているという。三菱電機側の主張とは食い違う。画像の一部を加工しています

 また、カメラの設置状況については「安全、防犯管理上の観点からご本人が勤務する前から各フロアに設置している。フロア内に3カ所あり、階段付近に2カ所、エレベーター付近に1カ所、とフロアの出入り箇所に設置している」と答えた。

 懲戒処分を出された直後、女性は東京労働局に訴え、処分は撤回されたという。

「労働局は、女性特有の生理現象があるため、離席時間や回数をカウントすることはセクハラに当たるとして会社側に指導してくれました」

 女性は、18年7月に精神科を受診し、後に適応障害と診断を受けた。余っていた有休を消化し、19年2月から休職状態にある。休職期間が21年7月に終了したことを受け、9月に電機・情報ユニオンに相談し、団体交渉を申し入れた。

 女性から相談を受けた電機・情報ユニオンの米田徳治委員長はこう話す。

「女性が3回も搬送されたことを考えると、本当によく生きてくれていた、というのが率直な思いです」

 女性は、労働環境が悪いために病気を発症したとして、労働基準監督署に立ち入りを要請し、19年3月22日に調査が行われた。労災の申請は落ちたものの、現在再審請求をしている。米田氏は、企業側だけでなく、監督責任のある厚生労働省の問題も指摘する。

「監督係官の調査に明らかな瑕疵(かし)がありました。労働基準監督署は現場の写真を撮り、女性に聞き取りをしているにもかかわらず、目の前にある状況を見て見ぬふりをしていたことが調査結果復命書から読み取れます」

 中央労働基準監督署は取材に対してこう回答した。

「調査の結果内容は、個人情報が含まれているため、当事者以外にはお答えすることができません。復命書にあることは事実の通りになりますが、それについて会社側にどう指導したかは調査内容になるのでお答えしかねます。労災の請求に対する結果は、請求人に伝えた結果がすべてになります」

 日本労働弁護団常任幹事で労働問題に詳しい佐々木亮弁護士(旬報法律事務所)はこう話す。

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休職期間が終われば解雇の可能性も