女性が勤務場所としていた三菱電機の工場(神奈川県鎌倉市上町屋)の一室。画像の一部を加工しています
女性が勤務場所としていた三菱電機の工場(神奈川県鎌倉市上町屋)の一室。画像の一部を加工しています

 女性によると、以降は自席がオフィスの隅に追いやられ、上司から派遣社員の面前で怒鳴られたり、過剰な仕事を押し付けられたりすることが続いたという。

 女性は精神的ショックから体調を崩しがちになった。

 このセクハラ騒動については、三菱電機側も把握していた。三菱電機広報部はこう回答した。

「セクハラの申し立てがあったことは事実だが、出向先会社のセクハラ苦情処理委員会で調査し、ご本人への報告をへて、2002年に対応を終えたと聞いている。これ以上の詳細は、ご本人および当時の関係者のプライバシーに関するものなので回答を差し控えます」

 これに対して女性は「会社の『対応』とは、性教育を口実にセクハラ発言をしていた3人が、仕事中の発言だったにもかかわらず、『お酒の席での出来事』として口裏を合わせて報告をしたものです。私の方がむしろ職場の秩序を乱したことを理由に飛ばされました」と語り、双方の主張は食い違う。

 その後、女性は度重なる出向命令を受け、その先々で嫌がらせが繰り返されていたと証言する。

「異動を機にパワハラから逃れられると思ったのですが、すでに風評が広がり、ほとんど仕事を与えられなくなりました。私が上司に仕事を手伝いますと声をかけると、『会社に来なくていい』『君に与える仕事はない』などと言われ続けました」

 三菱電機広報部はこの上司の発言について「事実として確認していない」と否定している。

 そして2017年4月、長きに渡る出向が解除された。本社である三菱電機のある部署に配属になった。

 だが女性にあてがわれた勤務場所は、神奈川県鎌倉市の工場だった。ここは子会社や関連会社が入ったビルで、本社からの社員は女性一人だった。

「所属は本社なのに、出勤はなぜか鎌倉の工場でした。物置を急いで改造した場所に座らされた時は、目の前が真っ暗になりました」

 部屋の広さは4畳ほど(三菱電機は「約11平方メートルで6畳」と回答)で、窓にかけられた緑色のブラインドからわずかに光が入るだけ。しかも、場所は社内のごみ置き場の隣。部屋の前の廊下には、出入り口をとらえるようにカメラが設置されていた。

次のページ
「1人部屋」で3回倒れ病院に搬送