ミャンマーの避難民キャンプの責任者を務めるコドさん(撮影・筆者)
ミャンマーの避難民キャンプの責任者を務めるコドさん(撮影・筆者)

 ミャンマーでは過去数十年にわたり、軍事政権と少数民族の対立が続いている。2011年に民政移管が実現し、民主化の道のりを歩んでいたが、今年2月に軍事クーデターが発生。国内での戦闘も激しさを増し、戦火から逃れる59万人以上の避難民がいるとされる。

 11月に筆者が訪れた東部カイン(カレン)州では、この数日で状況が悪化している。

 14日には、日本が開発を支援した同州のレイケイコー村に、軍兵士約200人が動員され、政権与党だった国民民主連盟(NLD)の幹部など30人以上が拘束された。

 その後も、国軍と少数民族の反政府武装組織「カレン民族同盟(KNU)」の間で砲撃の応酬が続き、避難民が2000人以上、出ている。

■日本支援の村も軍の標的に

 レイケイコー村は、12年に国軍とKNUが停戦合意したのに伴い、平和の象徴として開発された。日本財団が16年に開始した支援事業によって、復興支援住宅や学校などが建った。17年には村で住宅100軒の完工などを記念する式典が開かれ、日本の大手メディアも集まった。

 ところが、「2月のクーデター以降、レイケイコー村は国内の民主活動家が身を隠したり、民主派の自衛組織『国民防衛隊(PDF)』が戦闘訓練をしたりする場所となっていた」(現地メディア)。

 村に対する国軍の監視も強まっていたという。レイケイコー村に限らず、周辺の村の情勢も悪化している。

 筆者が11月に訪れた同州にある避難民キャンプは現状、国軍の攻撃を受けてはいないものの、タイの支援団体関係者は、「今後どうなるか分からない」と戸惑いを隠せない。

 政治や経済、人的交流で日本が様々な関わりを持ってきたミャンマー。長渕さんや多くの日本人の祈りが、ミャンマーに届く日が来ると信じたい。

(東南アジア専門ジャーナリスト・泰梨沙子)

次のページ
長渕剛がミャンマーへ祈りを捧げて熱唱した「乾杯」動画