安倍元首相が首相に推す高市早苗政調会長
安倍元首相が首相に推す高市早苗政調会長

 また、新型コロナウイルス感染拡大で安倍元首相が国民に配布したが、不評だった「アベノマスク」問題も国会でやり玉に上がった。今年3月末で8200万枚、金額にして115億円が倉庫で「不良在庫」となり、年間の保管代は6億円にも上ることがわかったのだ。

 立憲民主党の逢坂誠二代表代行が追及すると、「反省すべき点がある。しっかりと検証する」と岸田首相は述べた。

 安倍政権時代の「負の遺産」が表になるたびに「反省」を口にした岸田首相。今の地位に岸田首相が上りつめたのは、自民党最大派閥である安倍派(清和会)が支援したからだが、最近は両者の間で「すきま風が吹いている」という。安倍派に所属する国会議員がこう話す。

「安倍氏は冬季北京五輪で米国に続いて外交的ボイコットに同調することを躊躇している岸田首相にイライラしているようだ。もともと、安倍氏は外交などで岸田首相が思い通りに動いてくれると思って総裁選で支持した。それが北京五輪の外交的ボイコット、アベノマスクなど違う対応をするので余計にピリピリし、機嫌が悪いと聞いている」

 安倍氏自身も安倍派の会合で「中国の人権状況に鑑みて、日本は政治的な姿勢や、メッセージを出すべきではないか」と岸田首相に決断を促すような発言をしている。

 そして9月の総裁選で推した高市早苗政調会長を女性初の首相にしたいという野望をあきらめていないという。

「安倍さんは『最後まで高市さんを総裁選で推せばよかった』『党三役には皆、安倍派で取るべきだった』と愚痴っていると聞きます。岸田政権に対し、『経済成長戦略がない。分配するものがないのにどうするの』と不満を漏らしている。そのうち政局を仕掛けるかもしれない」(前出の安倍派議員)

 AERAdot.で報じているように、国勢調査の結果で次の衆院選で小選挙区の大きな区割り変更「10増10減」となる方向だ。安倍氏の地元、山口4区は林芳正外相の地盤、山口3区とほぼ一つになる「合区」のような形になる。

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安倍氏VS林氏の山口戦争の行方は?