左から麻生太郎氏、安倍晋三氏、河野太郎氏
左から麻生太郎氏、安倍晋三氏、河野太郎氏

 自民党の甘利明前幹事長や石原伸晃元幹事長、立憲民主党の小沢一郎氏など与野党の大物議員の小選挙区落選が話題になった今回の衆院選。前回の選挙と比べて、どの候補者が票を集め、逆に失ったのか。2017年の衆院選と今回の衆院選のいずれにも出馬した候補者を対象に、2回の選挙の得票数を比較し、増減数をランキングでまとめた。

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 総務省が公表したデータによると、今回の衆院選の最終投票率は55・93%で、前回17年の衆院選より2・25ポイント上回っていた。自民党の小選挙区での得票数は2760万票で前回より110万票の増加、公明党は87万票で4万票増加している。

■票を減らした与党候補者、上位に大物がズラリ

 まずは与党系候補者の減少ランキングを見ていこう。

 最も票を減らしたのは、宮崎1区の自民・武井俊輔氏で3万5千票減だ。武井氏は今年6月、自身も乗っていた車検切れの車で、秘書が当て逃げ事故を起こしていた。これに対して批判が高まり、自民の県議を辞めた候補者が無所属で出馬したことなどが影響したと見られる。

 2位の静岡5区の自民・吉川赳氏、3位の新潟5区の自民・泉田裕彦氏は、保守分裂が影響したと言えそうだ。静岡5区からは自民二階派の細野豪志氏が無所属で出馬し、当選。新潟5区では前長岡市長で保守系の森民夫氏が出馬し、泉田氏、森氏ともに野党統一候補の米山隆一氏に負けている。

 4位以下には、大物議員の名前がズラリと並ぶ。

 4位は福岡8区の自民・麻生太郎氏で3万票減、山口4区の自民・安倍晋三氏は2万4千票減らし9位となった。二人とも小選挙区では圧倒的な強さを誇って当選しているが、票の減り方は大きい。

 その他にも、8位は本2区の自民・野田毅氏(元自治相)で2万5千票減、11位は千葉8区の自民・桜田義孝氏(元五輪担当相)で1万8千票減、12位は長崎4区の自民・北村誠吾氏(元地方創生相)で1万7千票減となっている。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう見る。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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