「麻生氏や安倍氏は選挙で負けることはないにしても、ここまで減ると無視はできないでしょう。森友問題や桜を見る会などの発言や対応の一つ一つが報道され、有権者もそれをしっかりと見ているのだと思います。特に安倍氏の山口4区では投票率が前回より9ポイントも減り5割を切った。離反票を招いたのも特筆すべきですね。また、今回は与野党問わず、70歳以上のベテラン層に厳しい選挙になりました。コロナ禍を経験し、古い価値観を持つ政治家を変えるべきという投票行動があったのでしょう」

■暴言、失言が影響した候補者も

 野党系の候補者はどうか。最も減少数が大きかったのは、日本維新の会から出馬した石崎徹氏で9万4千票減だった。石崎氏は前回選挙は自民党から出馬していたが、19年に秘書に暴言を浴びせ、暴行を加えた事件が発覚。20年に新潟簡裁から罰金20万円の略式命令が出され、自民党を離党した。今回の選挙では維新から立候補。維新には全国的に風が吹いたが、得票率は7・6%にとどまり、供託金没収の惨敗だった。

 2位はれいわ新選組から出馬した愛知10区の安井美沙子氏で4万5千票の減、次いで無所属の千葉6区の生方幸夫氏が3万7千票減となっている。愛知10区はれいわの他、立憲や共産、維新からも候補者が出ており、野党票が割れたと言えそうだ。生方氏は今年9月、北朝鮮による拉致被害者について「もう生きている人はいない」などと発言し、関係団体の他、世論からも激しい批判を受け、大きく票を減らしたと見られている。

 反対に票を増やした候補者のランキングを見ていこう。

 与党系で最も票を増やしたのは愛知11区の自民・八木哲也氏で6万1千票の増加だった。自民党総裁選で注目を集めた神奈川15区・河野太郎氏の5万票増をも上回った。これまで愛知11区では、トヨタ労組の組織内候補が野党から出馬し圧勝してきたが、公示直前に立候補を取りやめ。その結果、八木氏に票が流れたと見られている。

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野党で最も票を増やしたのは…