票を増やした候補で目を引くのは、40代、50代の比較的若い候補者だ。岸田内閣で経済安保担当相に抜擢された千葉2区の自民・小林鷹之氏は4万4千票増の4位、同じくワクチン接種推進担当相になった山梨2区の自民・堀内詔子氏が3万8千票増で6位に入っている。

■野党で最も増やしたのは神奈川13区

 野党系候補者のランキングで最も票を増やしたのは、自民党の甘利幹事長(当時)に勝った神奈川13区の太栄志氏で6万7千票の増加だった。石原伸晃元幹事長に勝った東京8区の吉田晴美氏が6万1千票増と続いた。

 その他には、日本維新の会から出馬した兵庫7区の三木圭恵氏、兵庫6区の市村浩一郎氏が、それぞれ5万票強を増やすなど、維新の候補者がトップ10に4人入り、勢いが伺える。

 角谷氏はこう見る。

「甘利氏は金銭問題が再び注目されたことが影響したのでしょう。伸晃氏は10年も前に幹事長をやってから、これから先への期待感がない。太氏と吉田氏は、未来への期待に応えてくれそうな候補者として評価されたのだと思います」

 さらに維新についてはこう語る。

「維新は自民党に代わる保守政党であるという認識が定着しつつある。橋下徹氏が政界を去って勢いは落ちたと思われたが、吉村洋文大阪府知事がコロナ禍で注目を集め、人気を集めている。明らかに吉村時代になっており、維新にとっては第二黄金期に入ったと言える。維新の改革が全国区になるかは、吉村氏が全国区になるかにかかっているでしょう。吉村氏はいつ国政に来てもおかしくない状況で、今後の展開に注目が集まっています」

 次の参院選ではどのような変化が見られるか。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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