阪神の佐藤輝明(C)朝日新聞社
阪神の佐藤輝明(C)朝日新聞社

 CSファーストステージで巨人に2連敗を喫し、終戦が決まった阪神。今季は開幕から首位を快走したが、最後まで逃げ切る力がなかった。

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 投手陣はよく頑張ったと言えるだろう。エース・西勇輝は6勝9敗と誤算だったが、青柳晃洋が13勝6敗で最多勝を獲得。秋山拓巳、ドラフト2位左腕・伊藤将司は10勝をマークし、ガンケルも9勝。シーズン終盤に復活した高橋遥人は来季エースとして期待される。救援陣は岩貞祐太が不安定な投球でセットアッパーとして1年通じて稼働しなかったが、小川一平、及川雅貴と球威十分の直球で打者を打ち取る若武者が出てきた。

 改善しなければいけないのは打線だろう。リードオフマンの近本光司は打率.313、10本塁打、50打点で最多安打(178)のタイトルを獲得。ドラフト6位・中野拓夢も打率.273、1本塁打、36打点で盗塁王(30)を獲得したが、クリーンアップを担う強打者たちが稼働しなかった。不動の4番として期待された大山悠輔は好不調の波が激しく、スタメンを外れることも。サンズも後半戦に入ると下降線をたどり、シーズン終盤の10月にファーム降格。今季限りでの退団が濃厚だ。打線の核と期待されたロハス・ジュニアも打率.217、8本塁打と不本意な成績に。マルテも9月以降に調子を落とし、打率.258、22本塁打、71打点。その中で大きな光となったのが、ドラフト1位の黄金ルーキー・佐藤輝明だ。

 日本人離れしたパワーで春先から本塁打を量産し、広い甲子園を本拠地に新人左打者最多の24本塁打をマーク。75年ぶりに記録を更新した。相手バッテリーのマークが厳しくなり、8月下旬から59打席連続無安打とスランプも経験したが、今後の野球人生の糧になるだろう。126試合出場で打率.238、24本塁打、64打点。佐藤にとっては悔しさの方が大きいかもしれないが、阪神ファンはロマンを抱いた。

 本職は三塁だが、新人の今季は右翼を守った。だが、大山が戦線離脱した際に三塁を守り、安定感抜群の守備を披露している。他球団のスコアラーは「佐藤は三塁が似合う。グラブさばきがしっかりしていて、送球も強い上に安定している。予想以上に巧いので驚きました。現状の力でも三塁でゴールデングラブ賞を獲得できるレベルだと思います」と太鼓判を押す。

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