小選挙区での敗北が決まった平井卓也氏(左)と後藤田正純氏(C)朝日新聞社
小選挙区での敗北が決まった平井卓也氏(左)と後藤田正純氏(C)朝日新聞社

 しかし、映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で一躍、人気になった小川氏に敗れた。

 平井氏は閣僚の座を射止めたものの、NTT接待疑惑や官僚への恫喝音声の流出などで支持が急降下していた。

 AERAdot.で10月29日に配信した記事で報じたように、小川氏に先行を許す状況の中、「向こうは映画スターとしての人気。平井は悪いやっちゃというイメージ」と攻撃していた。

「私はデジタル社会推進本部長、自民党で最大の圧力をかけられるポストをいただいた」などとアピールしていた。

「平井氏は演説をすれば『安倍政権と菅政権で2度も入閣した』と自慢していた。堂々と戦えばいいのに、出遅れで焦って小川氏にネガティブキャンペーンを繰り返したことが逆効果。まさに自爆ですね」(地元の自民党県議)

 徳島1区では自民党の後藤田正純氏が無所属の仁木博文氏に小選挙区で敗れた。

 当選7回の後藤田氏は「カミソリ後藤田」で有名な、元官房長官、後藤田正晴氏の甥というサラブレットだ。

 これまで仁木氏の挑戦を6回、退けて圧倒的な強さを誇っていた。

 しかし、議員宿舎に女性を連れ込むなどのスキャンダルが週刊誌で報じられ、地元での信頼を失っていた。選挙戦になると妻で女優の水野真紀さんが応援に駆けつけていたが、今回は姿がなかった。

 さらに自民党徳島県連が5月、党本部に「後藤田氏を公認しないでほしい」という申し入れ書を提出。申し入れ書には徳島県議会最大会派「県議会自民党」の24人全員が賛同し、署名を付けていた。申し入れ書に問題視される後藤田氏の言動が列挙され、地元では四面楚歌の状態になっていた。

「これまでは自民党の県議、市議が一体でガッチリと支援する体制だった。その背景には叔父の正晴さんの強力な威光があった。しかし、今では県議らの支援はほぼゼロ。おまけにこれまで支援してくれた各種団体も距離をおき、仁木氏にまわるところもあった」(後藤田陣営の地方議員)

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地元で四面楚歌だった後藤田氏